AI音声合成のElevenLabsとMetaが提携 InstagramとHorizonで多言語吹き替え

2025年12月12日、AI音声技術を手がけるElevenLabsは米Metaとの提携を発表した。
InstagramやHorizonを中心に、動画の多言語吹き替えや音楽生成、キャラクターボイス制作を強化する。
ElevenLabsの公式X投稿および海外メディアが報じている。
Meta、ElevenLabsのAI音声を主要SNSに統合
ElevenLabsは12月12日、Metaと提携し、同社のAI音声技術をInstagramやHorizon(※)に提供すると明らかにした。
Instagramのリールの自動吹き替え、音楽生成、Horizonのキャラクターボイス制作などが対象となる。これにより、Metaの主要プラットフォーム上で、より自然で多様な音声表現が可能になる。
ElevenLabsは高度な音声合成と多言語対応で急成長するスタートアップだ。同社によれば、音声ライブラリには70以上の言語に対応した1万1000以上の音声が含まれているという。
今回の連携により、Metaは世界中の利用者向けにローカライズされた音声体験を届けやすい体制を整えた。
特にHorizonは、VRや複合現実デバイス向けの没入型ソーシャル体験を軸に、ユーザー生成コンテンツへの依存度が高い。
AIによる音声生成が容易になれば、クリエイターは言語の壁を越え、魅力的なコンテンツを構築しやすくなると見られる。
※Horizon:Metaが提供するVR・MR向けのソーシャルプラットフォーム群。仮想空間内での交流やコンテンツ制作を特徴とする。
音声の民主化が加速 創作拡大と信頼性リスクも
今回の提携は、コンテンツ制作の裾野を大きく広げる可能性を持つ。多言語吹き替えや音声生成が自動化されれば、個人や小規模チームでもグローバル展開が容易になる。
特にReelsでは、言語の違いによる視聴障壁が下がり、拡散力の向上が期待できる。
一方で、リスクも存在する。AI音声は利便性が高い反面、なりすましや誤情報拡散に悪用される懸念が指摘されてきた。
Metaはこれまで生成AIに関する透明性や安全対策を強調してきたが、音声領域でも利用ルールや検知技術の整備が不可欠となるだろう。
長期的には、SNSやメタバースにおける「声」が新たな表現資産になる可能性がある。
音声の個性がキャラクター価値やブランド形成に直結する中で、MetaとElevenLabsの連携は、AI時代の表現基盤の拡張の一例となるだろう。
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