伊藤忠商事、AIエージェント導入支援で三社提携 設計から運用まで包括支援

伊藤忠商事株式会社は、ベルシステム24およびAVILENと、企業のAIエージェント導入支援に関する業務提携契約を締結したと発表した。
業務設計から開発、定着化、運用支援までを一体で提供し、企業のAI活用を包括的に支援する。
伊藤忠商事、AIエージェント導入で三社業務提携
2025年12月15日、伊藤忠商事は、ベルシステム24およびAVILENと、企業のAIエージェント導入支援に関する業務提携契約を締結したと発表した。
伊藤忠商事が展開する「伊藤忠デジタル事業群」を中心とした顧客基盤に向けて提供される。
背景として、日本企業における生成AIの導入率は半数を超える一方、期待した成果を得られている企業は約1割にとどまるとされる。
要因として、AIを活用できる人材やノウハウの不足、業種・企業規模ごとに異なる業務プロセスへの対応の難しさが挙げられている。
ベルシステム24は、1,500社超の企業に対するコンタクトセンターおよびBPO事業を通じて蓄積した業務運用の知見、対話データ、業務ナレッジを有する。
AVILENは、AIおよびデータ活用技術を開発するテクノロジー企業として、約400名のエンジニア人材とAI開発力を持ち、AIエンジニア資格試験「E資格」のオンライン研修で9期連続業界No.1の実績を有している。
本提携では、業務プロセスやフローを可視化し、ヒトとAIの業務分担を整理したうえで、各企業の課題に特化したAIエージェントを設計・開発する。
また、導入後の定着化に向けて、社員向けのリスキリング・プログラムを提供するという。
加えて、AI導入後も人による対応が必要な業務について、BPOの設計および提案を行うとしている。
包括支援型モデルが企業AI活用に与える影響
本提携により、AIエージェント導入が単なるツール導入にとどまらず、業務設計や人材育成、運用支援まで一体で提供される点はメリットだろう。
業務プロセスの整理と役割分担を前提に進めることで、導入後の運用停滞やPoC止まりを抑制できる可能性がある。
また、BPO事業で培われた現場知見を活用することで、コールセンターやバックオフィスなど、定型業務を中心とした適用範囲の拡大も見込まれる。
一方で、デメリットとしては、AIエージェントが業務プロセスに深く組み込まれることによる設計負荷の増大があげられる。
要件定義が不十分な場合、想定した効果を得られないリスクが残ると言える。
また、対話データや業務データを活用する以上、個人情報や機密情報の管理体制を厳格に構築する必要があると考えられる。
今後は、こうした包括支援型のモデルが他業界にも広がることで、AIエージェント導入の標準化が進む可能性がある。
その一方で、企業側には導入目的やKPIを明確にし、ヒトとAIの役割を継続的に見直す姿勢が求められるだろう。
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