Perplexityとハーバード大、AIエージェント利用実態を調査 認知タスク集中

2025年12月9日、米AI企業Perplexityとハーバード大学は、AIエージェントの利用実態を分析した世界最大級の研究を公開した。
数億件の匿名化データから、利用の57%が認知タスクに集中していることが判明し、AIが実用フェーズへ移行している実態が示された。
AIエージェント利用の57%が認知タスクに
本研究は、PerplexityのAIブラウザであるCometおよびComet Assistantにおける数億件の匿名化インタラクションを統計的に分析したもので、AIエージェントが現実世界でどのように使われているかを明らかにした。
具体的には、導入主体、利用の深さ、委ねられるタスクの種類という三点が分析の焦点となった。
研究では、全利用の57%が生産性向上や学習・リサーチ支援といった認知タスクに分類されることが判明した。
認知タスクとは、情報の理解・整理・分析など、人間の思考や判断を支援する知的作業を示す分類で、複雑な判断においてもAIエージェントの役割が大きくなっていることがわかる。
内訳は、生産性・ワークフロー改善が36%、学習・調査支援が21%となっている。
具体的には、ビジネス担当者が事例分析の下調べを行う例、学生が講義理解を深めるために利用する例、金融分野で情報整理や初期分析を任せる例などが確認されたという。
AIは情報収集や要約を自律的に担い、人間が判断や意思決定を下す補助役として機能しているとの分析だ。
また、利用職種を見ると、マーケティング、営業、マネジメント、起業家といった領域で日常的な活用が進んでおり、導入数よりも「継続利用の強度」が重要であることが浮き彫りになった。
利用行動の推移を見ると、新規ユーザーは旅行計画や雑学といった低リスクの質問から始める傾向があることもわかった。
しかし、コードのデバッグやビジネスレポート要約など高度なタスクを経験すると、その後は生産性や学習領域で継続利用する割合が高まるという。
この変化は、パソコンが趣味的な機器から業務インフラへ進化した過程と重なるとPerplexityは分析している。
また、AIエージェントも同様に、実用ツールとして日常業務や学習に定着しつつあると主張した。
効率化の先にある価値と、新たなリスク
今回の結果は、AIエージェントが単なる自動化ツールではなく、人間の思考を拡張する基盤になりつつあることを浮き彫りにした。
情報整理や初期分析をAIに委ねることで、人間は判断や創造に集中できる環境が整う可能性がある。
一方で、AIへの依存が進むほど、問いの立て方や評価軸を人間が失うリスクも否定できない。
認知タスクの質は入力次第で大きく左右されるため、利用者側のリテラシー格差が成果の差として顕在化する懸念もある。
将来的には、AIと共に思考することを前提とした働き方や学習設計が求められるだろう。
2025年時点で示されたこのデータは、知的労働の競争力が「何を考えるか」だけでなく、「どのようにAIと考えるか」に移行しつつあることを示唆していると言える。
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