政府と東京都、18日に大規模停電想定の机上演習 首都圏インフラ連携を強化

2025年12月18日、内閣官房と東京都は、首都圏での大規模停電を想定したインフラ障害対応の机上演習を実施する。
11月19日の内閣官房の発表によるもので、政府と自治体、主要インフラ事業者が参加し、危機対応の連携強化を図る。
自然災害に起因しない大規模停電に備える
今回の演習は、社会的影響が特に深刻な首都圏での自然災害に起因しない大規模インフラ障害への対応力を高めることを目的として行われる。
内閣官房と東京都が共催し、場所は東京都庁、日時は2025年12月18日とされている。
演習テーマは「首都圏における大規模停電の発生と主要インフラに対する被害の拡大」だ。
参加分野は、政府・地方公共団体に加え、警察、消防、電力、ガス、石油、医療、通信、水道、金融、鉄道、道路など多岐にわたる。
単一組織では対処できない事態を前提に、横断的な意思決定と情報連携の確認が重視される。
本演習は、2025年7月に策定された政府ガイダンスを踏まえて実施される。
机上形式(※)であるため、実動は伴わないものの、被害想定の精緻化や対応手順の可視化が期待される。
※机上形式:実際の設備操作や現地出動を行わず、想定シナリオに基づき関係機関が対応方針や意思決定を議論・確認する訓練手法。複雑な危機事態における連携や判断の課題を洗い出す目的で用いられる。
官民連携の実効性が焦点に
今回の合同演習は、インフラ障害が経済活動や市民生活に与える影響の大きさを改めて示すものとなるだろう
電力停止は通信、金融、交通、医療へと波及し、都市機能全体を麻痺させかねない。事前に関係者間で認識を揃えることは、被害拡大の抑制につながると考えられる。
メリットとしては、官民の役割分担が明確化され、平時からの情報共有体制を再設計できる点が挙げられる。
金融機関や通信事業者を含む点は、デジタル社会に即した構成と言える。
一方、参加組織間で対応水準に差があれば、連携の弱点が露呈するリスクもある。
大規模停電が発生した場合、技術的対応と広報・統治の判断が同時進行で求められるため、訓練内容の現実性が問われるだろう。
今後は、今回の演習結果を踏まえ、実動訓練や制度改正へとつなげられるかが焦点となりそうだ。
情報と物理が交錯する複合リスクの時代において、首都圏モデルが全国へ展開可能かどうか、その成否にも注目したい。
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