タイミー、経費精算をAIで効率化 申請不備を防ぎ月次締めを1日短縮

株式会社LayerXは、同社が提供する業務効率化AIサービス「バクラク」の新機能が、スキマバイトアプリを展開する株式会社タイミーに導入された事例を公開したと発表した。
AIによる申請レビューで経費精算業務を効率化し、月次決算の締め作業を1営業日短縮した。
タイミー、AI申請レビューで経費精算を効率化
2025年12月12日、LayerXは、業務効率化AIクラウドサービス「バクラク」に搭載されたAIエージェント新機能「AI申請レビュー」が、株式会社タイミーで本格活用されていると発表した。
急成長を続けるタイミーでは、従業員数が約3年で500名から1,500名規模へと拡大し、経費精算業務の負荷が深刻化していた。
特に営業職を中心に出張や移動が多く、月間約1,400件の経費申請と、約4,000行に及ぶ交通費明細の目視確認が経理部門の大きな負担となっていた。
不備による差し戻し対応も頻発し、人手によるチェックには限界が見え始めていた状況である。
「AI申請レビュー」は、申請前の段階でAIが社内規程に照らして内容を確認し、不備をリアルタイムで指摘する機能だ。
訪問先の曖昧な記載や領収書の添付漏れなどを自動検知し、申請者自身に具体的な修正点をフィードバックする。
これにより、確認や差し戻しの工数が大幅に削減され、タイミーでは経費精算の月次締め作業を1営業日前倒しする成果につながった。
AIによる事前チェックが変える経理業務の常識
今回の事例が示す最大のポイントは、AIを「後工程の自動化」ではなく、「申請前の予防」に活用している点だろう。
ミスが起きてから修正する従来型の運用に比べ、業務全体の流れを滑らかにし、関係者全体の負担を軽減する効果が期待できる。
経理担当者だけでなく、申請者や承認者の手戻りを減らす点も大きなメリットだと言える。
一方で、AIが社内規程をどこまで正確に理解・反映できるかは継続的なチューニングが不可欠になると考えられる。
規程変更や例外対応が多い企業では、AIの判断と現場感覚のずれが新たな課題になる可能性もある。
AI任せにし過ぎず、最終的なガバナンス設計が重要になるだろう。
それでも、従業員数の増加に比例してバックオフィスの人員を増やす従来モデルは、成長企業にとって持続的とは言い難い。
AIによる事前レビューの仕組みは、経理・人事・法務など他の間接部門にも応用が可能であると考えられるため、今後は「AIが業務を教える」形のDXが日本企業で広がっていく可能性もありそうだ。
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