朝日新聞社、AI不正検知で経費精算を高度化 SAP Concurの「Verify」採用

SAP Concur Japanは、朝日新聞社が経費精算業務の高度化を目的に、AI不正検知ソリューション「Verify」を含む複数のソリューションを採用したと発表した。
2026年3月から約3,000人の従業員を対象に順次利用が開始される予定だ。
朝日新聞社、AI不正検知など3製品を採用
2025年12月9日、SAP Concur Japanは、朝日新聞社が経費精算業務のさらなる高度化を目的として、AI不正検知ソリューション「Verify(※)」をはじめとする複数の製品を採用したと発表した。
対象となるのは、同社の経費精算および間接費管理業務である。
朝日新聞社はこれまで、間接費管理基盤としてSAP Concurを活用し、経費精算業務の効率化とガバナンス強化を進めてきた。
現在は、経費精算業務をワンプラットフォームで統合し、自動化と標準化を推進する方針を掲げている。
今回採用されたのは、AI不正検知ソリューション「Verify」、交通系ICカードと連携する「ICCI(IC Card Integration)」、およびデジタルアダプション・プラットフォーム「WalkMe Premium for SAP Concur Solutions」の3製品である。
Verifyは重複申請などの不正リスクをAIで自動検知し、ICCIは交通費データを自動で取り込む仕組みを提供する。
さらにWalkMeは、申請操作を画面上でガイドし、利用定着を支援する役割を担う。
これらに法人カード連携を組み合わせることで、経費申請プロセスの自動化が可能となる。
各ソリューションは2026年3月より順次、約3,000名の従業員を対象に利用開始される予定だ。
※Verify:SAP Concurが提供するAI不正検知ソリューション。経費データを分析し、重複申請や不自然な支出パターンなどの不正リスクを自動的に検出する仕組みで、ガバナンス強化と確認業務の効率化を目的としている。
経費精算DXが示す効果と今後の課題
今回の取り組みは、経費精算業務における効率化とガバナンス強化を同時に進められる点が大きなメリットだ。
AIによる不正検知の導入は、従来人手に依存していたチェック作業の負担軽減につながり、確認プロセスの均質化も期待できる。
また、交通費データの自動連携や操作ガイドの導入により、入力ミスの削減や申請時間の短縮が見込まれる。
従業員にとっては、経費精算に割いていた時間を他の業務へ振り向けられる点も利点と言える。
一方で、AIによる自動検知には誤検知のリスクが伴う可能性がある。
過度な自動化は、例外的な経費処理への対応を難しくする恐れもあり、運用面での調整が重要になるだろう。システム変更に対する現場の理解促進も課題として残る。
それでも、経費精算の自動化と不正検知を一体で進める事例は、日本企業のバックオフィスDXの方向性を示すものと考えられる。
今後、同様の取り組みが他企業へ広がる可能性は高い。
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