AIデータが防災・危機管理・BCP向けAI基盤「AI SafetyNet on IDX」提供開始

AIデータ株式会社は、防災・危機管理・BCP分野に特化したAIプラットフォーム「AI SafetyNet on IDX」を国内向けに提供開始したと発表した。
企業や自治体の危機対応をAIで一元支援し、平時から有事までの運用高度化を目指す。
AIデータ、防災・BCP特化AI「SafetyNet」を提供開始
2025年12月11日、AIデータ株式会社は、防災・危機管理・事業継続計画(BCP)を担う企業や自治体、施設運営者向けに、業界特化型AIソリューション「AI SafetyNet on IDX」の提供を開始したと発表した。
自然災害や感染症、サイバー攻撃、インフラ障害など、複合化するリスクへの対応力強化を狙う。
同サービスは、生成AIと災害対応マニュアル、位置情報、通報履歴、BCP文書を統合管理する点が特徴だ。
事前準備から緊急時対応、事後報告までを一気通貫で支援し、属人化しがちな危機対応業務を可視化・標準化する構成となっている。
具体的には、業種や災害種別に応じたBCP文書やマニュアルの自動生成、過去の災害対応履歴を即時検索するナレッジ支援、安否確認や通報記録の整理・台帳化を行う。
さらに、自治体や社内外の関係機関との対応履歴をAIが分析・統合し、訓練用シナリオや事後レポートの草案作成まで支援する点も盛り込まれた。
同社は、ソリューションサイト「AIファクトリー」を通じて、防災・危機管理・BCP向けのRAG(※)テンプレートやプロンプト例も公開している。
※RAG(Retrieval Augmented Generation):外部データベースや文書を検索(Retrieval)し、その結果を基に生成AIが回答を生成する仕組み。最新情報や社内文書を反映した高精度な応答が可能となる。
危機対応AIの常設化が進む一方、運用設計が成否を左右
AI SafetyNet on IDXの登場は、防災やBCPを「非常時だけの取り組み」から「日常業務として回す仕組み」へ転換する可能性を示している。
自治体や医療機関、インフラ事業者から中小企業まで幅広く適用できる点は、慢性的な人手不足やノウハウ継承の課題解決につながると考えられる。
特に、過去の災害対応履歴をAIが即座に参照し、状況別の行動案を提示する仕組みは、初動対応の質と速度を底上げする効果が期待できる。
訓練や教育用コンテンツの自動生成も、形骸化しがちな防災訓練を実践的なものに変える契機となりうる。
一方で、AIに入力するデータの整備や更新が不十分な場合、提案内容の精度低下を招くリスクもある。
危機管理分野では誤情報や判断遅延が重大な影響を及ぼすため、AIの活用範囲と最終判断の責任所在を明確にする運用設計が不可欠だといえる。
総じて、災害リスクが高い日本において、AIを活用した危機に直面しても早期に立て直す力の強化の動きは、企業・自治体双方で広がる可能性がある。
関連記事:
NTTデータ北陸ら3者、災害時通信安定化を目指し実証実験を実施












