バッファロー、札幌第一高校で全生徒同時接続可能なWi-Fi環境を実現

2025年12月10日、株式会社バッファローは札幌第一高校(北海道札幌市)において、校内のWi-Fi環境を全面刷新したと発表した。全生徒が同時接続可能なマルチギガネットワークを整備し、授業や学校行事でのICT活用が大幅に向上した事例である。
全学年対応のマルチギガWi-FiでICT教育を加速
札幌第一高校は、校舎全域や体育館、図書館、運動施設までWi-Fi環境を刷新し、約1,000名の生徒と教職員が同時接続しても快適に利用できるネットワークを整備した。
生徒用回線は10Gbpsに強化され、Wi-Fi 6(11ax)対応アクセスポイント78台を設置して高い安定性を確保している。
従来は2教室に1台のアクセスポイントで、チャンネル設計や上位回線の制約によりICT教育の柔軟な運用が難しかった。授業や行事でのオンライン英会話やクラウド共同編集、動画視聴に支障があり、教員の作業負担も大きかったという。
今回の刷新ではSSIDの単一化とローミング支援機能により、学年を問わず全員が同一のSSIDで接続可能になったほか、MACアドレス登録変更などの管理作業も校内で実施できるコントローラーレス設計を採用した。
管理ツール「WLS-ADT/LW」を用いることで、校内ネットワークの死活管理もリアルタイムで行える。
佐藤亮介氏(札幌第一高校 英語科・ICT委員会)は、「論文検索、動画視聴、クラウドでの共同編集がスムーズになり、より深い探究が可能になりました。」と語る。生徒発案の行事配信や双方向授業の実現など、教育活動の幅が広がった点も大きな成果である。
全員接続Wi-Fiが拓く教育現場の可能性と課題
全員接続可能な大規模Wi-Fi環境は、教育現場の運営効率や意思決定の迅速化に寄与すると考えられる。教職員は日常業務や校務管理にかける時間を削減でき、教育施策の調整や計画策定により集中できるため、学校運営の柔軟性が高まる可能性がある。
また、ネットワーク依存型の教育施策が進むことで、将来的には学習方針や教育プログラムの多様化が期待できる。新たな教育技術やデジタル施策を導入する際の基盤となり、学校全体の教育戦略を拡張する効果も見込める。
ただし、障害や不具合の発生時には全校規模での影響が及ぶリスクがある。
セキュリティ面でも端末数の増加による情報漏えいや不正アクセスへの対応が不可欠であり、管理体制や監視体制の整備が求められる。
さらに、高速・大容量Wi-Fiの整備状況によって学校間の教育環境に差が生じ、学習機会の格差が拡大する恐れがある。
長期的には、持続可能なインフラ戦略と教育施策の両立が教育現場全体の課題となるだろう。
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