NTTイードローンが腐食深さ推定AIを提供開始 鋼材点検を画像解析で自動化

日本のNTT e-Drone Technologyは、損傷解析AIサービス「eドローンAI」において、鋼材の腐食深さを画像から自動的に推定する新サービス「腐食深さ推定」の提供を開始した。
ドローンやスマートフォンで撮影した画像を用い、インフラ構造物の腐食による断面欠損量を定量化する国内初の取り組みとしている。
腐食深さを画像から自動推定 平均誤差0.29mm
2025年12月10日、NTTイードローンは、損傷解析AIサービス「eドローンAI」の錆検出機能のオプションとして、新サービス「腐食深さ推定」の提供を開始した。
ドローンカメラやスマートフォンカメラなどで撮影した鋼材の画像を入力し、腐食による断面欠損量としての腐食深さを自動的に推定する。
本サービスは、NTTアクセスサービスシステム研究所で構築されたR&D成果を活用している。
実際のインフラ構造物で測定した腐食深さデータを学習に用いることで、平均誤差0.29mmという推定精度を実現したとしている。
画像から腐食深さを推定する技術を社会実装するのは国内初だと説明する。
従来、鋼材の腐食状況は検査員による目視確認が中心で、腐食の進行度合いを定量的に把握することは難しかった。
超音波による厚さ測定も存在するが、探触子を直接当てる必要があり、広範囲の設備で実施する場合は作業負担や足場設置などのコストが課題となっていた。
「腐食深さ推定」は、錆検出機能と併用することで、錆領域の検出と腐食深さ推定を同時に行える。
あわせて、ひび検出機能のオプションとして、コンクリートの「剥離」「鉄筋露出」「漏水」「遊離石灰」を検出する機能の提供も開始する。
また同社は、ブルーイノベーションと共同で「次世代インフラ点検DXセミナー」第2回を2025年12月11日にオンライン開催する。
本サービスの導入を検討する先着10社を対象に、解析結果を体験できる無料トライアルも実施する。
点検の定量化が進展 一方で精度管理が課題に
腐食深さを数値として把握できる点は、インフラ点検における判断のばらつきを抑える効果が期待される。
目視に頼ってきた評価を定量データに置き換えることで、補修や更新の優先順位付けを標準化しやすくなる利点がある。
特に、ドローン撮影と組み合わせることで、高所や広範囲の鋼構造物を効率的に点検できる点は運用上のメリットと言える。
一方、画像解析による推定である以上、撮影条件への依存は避けられない。
距離や角度、照明環境が適切でなければ、解析結果に誤差が生じる可能性がある。
また、腐食の形状や進行パターンが学習データの範囲外であった場合、推定精度の検証が別途必要になる場面も想定される。
今後は、既存の超音波測定などの手法と併用しながら、AI推定結果をどう運用に組み込むかが実務上の焦点になると考えられる。
錆検出やひび検出と組み合わせた一体型の解析が進めば、点検結果を蓄積し、長期的な設備管理や予防保全計画に活用する道も広がるだろう。
株式会社NTT e-Drone Technology プレスリリース
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