磐田市が子育て分野の生成AIチャットボット実証開始 24時間対応へ

SDT株式会社は静岡県磐田市と協働し、生成AIを活用した子育て分野のチャットボット実証実験を開始した。市民が24時間いつでも制度情報へアクセスできる仕組みを構築し、行政DXのモデルとなる可能性がある。
生成AIで子育て相談を自動化 磐田市が実証を開始
2025年12月10日に発表された実証実験は、子育て世代の情報アクセスを大きく改善することを狙いとしている。共働き家庭の増加で窓口利用が難しくなる中、時間や場所を問わず行政情報に触れられる環境の必要性が高まっていたことが背景にある。
SDTと磐田市は2024年11月にAI活用の連携協定を締結し、市民サービスの高度化に向けた共同プロジェクトを進めてきた。
実証期間は2025年12月から翌年3月末までで、主に子育て支援制度や手当、保育施設に関する質問に自動で回答する。磐田市公式サイトから利用でき、専用アプリの導入は不要である。
特徴は、市の情報に特化した生成AIが自然な対話形式で疑問を解消する点だ。制度変更があった場合も市サイトの更新情報を自動で反映するため、職員の手作業が抑えられる仕組みになっている。
AIチャットボットにより、市民は時間や場所を問わず必要な子育て情報へ即時アクセスでき、不安や疑問を早期に解消できる見通しだ。
基本的な問い合わせが自動化されれば職員負担が軽減し、専門相談に集中できる体制も整う見込みである。
SDTと磐田市は、今回の取り組みが順調に進めば、本格運用や他分野への展開を検討するとしている。
行政DXの加速とリスク AI活用はどこまで広がるか
磐田市の取り組みは、行政サービスの隙間時間を埋め、市民が必要な情報へ即座に到達できる環境を整える点で大きな意義を持つと言える。共働き世帯にとって、窓口の営業時間に縛られない情報取得は生活の負担を軽減する効果が期待される。
また、基本的な問い合わせが自動化されれば職員が専門性の高い業務に注力でき、行政全体の効率性も高まるはずだ。
一方で、生成AIの誤回答は避けがたく、誤解を招く応答が制度理解を逆に複雑化させる懸念も残る。セキュリティや情報管理の水準を維持できなければ、市民の信頼が揺らぐ危険性も否定できない。
利便性とリスクが表裏一体で進行する点が、この手の行政DXの難所であると考えられる。
実証実験が一定の成果を示せば、磐田市は本格運用へ移行し、子育て分野を超えた横展開を図る可能性が高いとみられる。
市民との接点をAIが担う時代が訪れつつあると言えるが、その成熟度は運用体制と透明性に左右されそうだ。
関連記事:
長浜市が広報紙をAIで電子化 若年層向けスマホ対応を実証

奈良市がAI×LINEで子育て支援を強化 全国初の24時間相談体制を実証開始

AIチャット相談、柏市の教育現場で93.6%の満足度を達成












