ハローデイが日立AIで残業を削減 全49店舗の人時生産性を大幅に底上げ

福岡を中心に展開する食品スーパー「ハローデイ」が、日立製作所の需要予測型自動発注システムを全店導入した成果が発表された。国内小売で深刻化する人手不足に対し、残業時間7.9%削減など働き方改革に直結する成果が示された。
日立AIが発注精度を高め残業7.9%削減、人時生産性も改善
ハローデイは2025年12月10日、日立の「HMAX Industry」内の一つである、AI を活用した「Hitachi Digital Solution for Retail/需要予測型自動発注システム」を全49店舗で導入したことにより、大幅な業務効率化に成功したことを発表した。
全店舗・全フロアにおける従業員の 1 カ月間の総労働時間を前年比で月6,837時間削減し、残業は前年比7.9%減となった。加えて、人時生産性が8.4%向上し、店舗運営の基盤が強化された。
本システムは、店舗ごとに異なる売場構成や取引条件に応じて、AIが最適な発注ロジックを自動調整する点が特徴である。対象アイテムは1店舗あたり約7,000点に及び、各店舗の売場スペースや商品配置の違いを考慮した個別発注ロジックを備えている。
自動発注率は90%以上を達成。欠品率は6.99%減少し、過剰在庫も抑制されている。
担当者からは「心配性発注(過剰発注)が減った」との声も出ており、心理的負荷の軽減にもつながっている。
ハローデイは今後、姉妹ブランド「ボンラパス」6店舗へのシステム展開を進める方針で、店舗間での生産性格差の縮小が期待される。さらに、生成AIを活用した予測精度の向上や、店舗業務のQ&Aチャットボット化も検討しており、ノウハウ共有の実現を目指す。
背景には、人員不足と経験依存の発注業務という小売共通の課題がある。
ハローデイでは日立の需要予測型自動発注システムの導入を、2023年より検討開始、2024年1月には5店舗で導入開始、2025年6月には全店導入を完了し運用を開始している。
自動化の拡大が小売DXを加速、次は生成AIによる運用高度化
ハローデイによる日立AIの全店導入は、経験に依存しない発注体制が構築される点で評価できる。労働力不足が続く中、作業の標準化と自動化は競争力の維持に直結すると考えられる。
また、心理的負荷の軽減という間接効果も無視できず、現場の疲弊を和らげる要因となるだろう。
一方で、システム依存度が高まることで、AIの予測精度が不調となった場合のリスクや、現場の判断力の低下といった課題が残る。自動化が進んだ環境ほど、人がどこで介入し、どこを監視すべきかという線引きがより重要になっていくだろう。
今後は、AI発注の高度化と店舗業務全体の再編が並行して進む流れになるとみられる。今回の取り組みはその一環であり、小売現場におけるDXの実効性を示す事例として、他業態への波及も予想される。
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