企業が自前AIを自在に開発する時代へ NTTデータが新基盤を提供開始

2025年12月9日、NTTデータは企業が業務特化型AIを自然言語で開発できる基盤「LITRON® Builder」を2026年4月に提供すると発表した。
誰でも業務特化AIを開発可能にする新基盤「LITRON Builder」
NTTデータは、※エージェント型AIを自社業務に合わせて開発できる「LITRON Builder」を来年4月から提供する。同基盤は自然言語によるノーコード開発からローコード、コーディングまでを幅広くカバーし、企業のガバナンスやセキュリティ要件に準拠したAIエージェントの構築を可能にする点が特徴だ。
同社はこれまで実行基盤「LITRON CORE」で業務効率化を支援してきたが、独自ルールに対応し自律的に業務フローを組み立てるAIへの需要が高まったことを踏まえ、開発領域にも踏み込むかたちとなる。さらに「LITRON Sales」など既存エージェントや他社が作成したエージェントを活用できるLibrary機能も備え、共創エコシステムの拡大を狙う。
構成要素には、多様な環境で動作するMulti Platform機能や、教育・BPOを含むオプションサービス群が揃う。審査業務を自動化するユースケースでは、複雑な判断プロセスをエージェントがタスク単位で実行し、申請取得から信用分析、最終判定まで一貫処理できるとされる。
※エージェント型AI:特定の目的に基づき自律的にタスクを抽出し実行するAIの形態。
AI開発の民主化が進む一方で広がるリスクと今後の焦点
LITRON Builderの提供は、企業が業務特化AIを内製化しやすくなることで、生産性向上に寄与する可能性がある。特に自然言語による開発が主軸となれば、IT部門への依存度が下がり、現場主導でAI活用が進むことで、導入スピードが従来より高まることも期待される。
また、多様なエージェントを部品化・共有するエコシステムが広がれば、企業間で知見が循環し、AI活用の標準化が進展する余地もある。
一方で、誰もがAIを作れる環境は、誤設定や運用負荷の高まりといった新たなリスクも内包する。ガバナンスやデータ管理レベルの違いによっては、統制が不十分な組織で業務運用に影響が生じる可能性も否定できない。
また、AIが自律的に業務を担う範囲が広がるほど、責任分界点の明確化や審査プロセスの透明性など、追加の論点が浮上してくるとみられる。
NTTデータは2027年度末にLITRON関連で累計200億円の売上を目指しており、ローコード対応やオンプレ展開も計画している。
AIエージェントが人と並列で働く“AIネイティブな業務”がどこまで普及するかは、各企業が統制と活用のバランスをどのように設計するかに左右されるといえそうだ。
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