スカパーJSAT、次期通信衛星3機を2027年度から順次投入 SpaceXと打ち上げ契約

スカパーJSATホールディングスは、100%子会社であるスカパーJSAT株式会社が次期通信衛星3機の打ち上げについて、米SpaceXと契約したと発表した。
日本企業による衛星通信基盤の強化策として、2027年度以降に本格運用が始まる見通しである。
次世代3衛星を2027年度以降に打ち上げ、通信容量倍増へ
2025年12月8日、スカパーJSATホールディングスは、100%子会社のスカパーJSATが通信衛星「JSAT-31」「JSAT-32」の打ち上げサービスについて、米SpaceXをパートナーに選定し契約を締結したと発表した。
すでに打ち上げ契約済みの「Superbird-9」を含む次世代衛星3機は、2027年から2028年にかけて順次打ち上げられる予定である。
JSAT-31とSuperbird-9は、フルデジタル化された通信ペイロードを搭載し、打ち上げ後も軌道上で通信エリアや伝送容量を変更できる設計となっている。
対応周波数はKuバンドおよびKaバンドで、日本を含むアジア太平洋地域を主要カバレッジとする。運用寿命はいずれも15年以上を想定している。
加えてJSAT-32の導入により、同社が保有する静止軌道衛星群の通信容量は大幅に拡張され、既存の17機体制で提供してきた容量を倍増させる計画である。
SpaceXとは2016年、2019年にも打ち上げ実績があり、今回もロケット調達および打ち上げ輸送を委託する。
柔軟通信と高頻度打ち上げがもたらす利点とリスク
今回の取り組みは、通信需要の変化に対応しやすい衛星運用体制を確立できる点がメリットとして挙げられる。
フレキシブルな通信設計により、航空機内インターネットや広域通信など、利用分野ごとの需要変動に応じたリソース配分が可能になると考えられる。
一方で、デジタル制御を前提とした運用は、システムの複雑化や高度な運用管理を伴う。
需要予測や運用設計が十分でなければ、想定した効率性を発揮できないリスクも残る。
また、複数機を短期間で投入する計画は、初期投資や運用コストの増加要因にもなりうる。
それでも、安定した打ち上げ実績を持つSpaceXとの継続的な協業は、スケジュール面の不確実性を抑える効果があると考えられる。
通信容量の拡張と柔軟性の両立は、同社がアジア太平洋地域で競争力を維持する上で重要な要素となり、長期的には衛星通信サービスの信頼性向上につながる可能性がある。
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