WeAgriが海外向けパッケージをAIで最適化 シンガポール市場の訴求力向上へ

2025年12月8日、テックファームグループのWeAgri(日本・東京)が、シンガポール市場向けを中心とした海外用商品パッケージのデザイン支援サービスを開始した。現地データと生成AIを組み合わせ、短期間で「現地に響く」デザインを提案する仕組みで、日本食品メーカーの海外展開を後押しする。
AI×現地ノウハウで海外向けデザインを高速生成
WeAgriは、アジア市場で蓄積した販売データやプロモーション実績、さらに現地スタッフの知見を掛け合わせ、生成AIで複数案のパッケージデザインを自動生成するサービスを立ち上げた。国内仕様のままでは訴求しづらい海外市場に向け、短期間で現地文化や購買嗜好に適したデザインを提示できる点が特徴である。
背景には、シンガポールなどの東南アジア圏において、食品パッケージの視認性や色彩、メッセージ性が購買行動を大きく左右するという市場特性がある。これまで日本メーカーの多くは国内向けパッケージをそのまま輸出しており、ブランド認知の不足や訴求力の弱さが課題となってきた。
今回のAI支援により、デザイン検討の選択肢は従来より大幅に拡張される。生成された案はシンガポール在住デザイナーが仕上げを担い、実際のトレンドや文化的ニュアンスを反映する。WeAgriが運営する越境EC「TFD」や現地小売との連携から得た知見も反映され、実販売データに基づく改善が可能になるという。
同社はシンガポールを起点に、今後は東南アジア諸国へのサービス拡大も視野に入れる。輸出から販売、マーケティングまで一体で支援してきた自社体制を生かし、越境流通におけるパッケージ最適化の需要に応えていく方針だ。
海外展開を左右する“現地適応”の重要性 AI導入がもたらす可能性と課題
パッケージデザインの現地適応は、海外展開を進めるうえで競争力に影響を与え得る要素の一つだ。AIを活用することで、制作期間の短縮や複数案の迅速な比較が行いやすくなり、これまでコスト面で十分に検討しづらかったローカライズが、より現実的な選択肢として浮上してきている。
特に東南アジアのように文化・宗教・嗜好が多様な市場では、現地ごとの最適化が成果に影響を及ぼす可能性がある。
一方で、AI生成はあくまで“素案”であり、最終的な仕上げには現地スタッフによる監修や文化的理解が不可欠となる。AIに過度に依存すると、ブランドイメージや表現が市場特性とずれるリスクもあるため、運用には適切なバランスが求められる。また、生成AIを用いたデザインは他社も参入しやすいため、販売データや現場の知見といった独自ノウハウをどう統合するかが差別化のポイントになりそうだ。
今後は、生成AIと実販売データを連携させた一気通貫の最適化が進むことで、デザイン刷新から販促施策までを包括的にサポートする仕組みが広がる可能性もある。
越境ECの拡大に伴い、各国市場に合わせたブランディングの重要性は引き続き高まっていくとみられる。











