NTTフィールドテクノが愛知で道路維持管理DXを加速 AIとスキャン技術を組み合わせた実証始動

2025年12月8日、NTTフィールドテクノ(大阪市)は、愛知県が実施する「スタートアップ活用まちづくり支援事業」に選定されたと発表した。
東浦町を実証フィールドとし、道路維持管理の高度化に向けてAI解析基盤「Audin AI」とLiDAR技術を組み合わせた取り組みを進める。
AIとLiDARを連携し道路点検を高度化する実証が本格開始
NTTフィールドテクノは、自治体のインフラ維持管理DXを支援するクラウド基盤「Audin AI(※)」を軸に、東浦町で道路維持管理の効率化と精度向上を図る実証プロジェクトを始動した。
愛知県が主導する同支援事業に応募し、自治体とのマッチングや選考を経て採択されたとのことだ。
今回の実証では、同社のドライブレコーダー画像解析と、マップフォーが持つLiDARによる3D点群解析技術を連携し、路面の損傷や道路付属物の状況把握を高精度化する。
Audin AIによる損傷個所の整理や可視化に加え、住民申告管理ツールも提供し、東浦町の運用プロセス全体の最適化をめざす構えだ。
事業体は東浦町、マップフォー、NTTフィールドテクノの3者で構成され、2026年2月まで実証を行う。
2026年3月には成果報告会を予定しており、データの精度、運用負荷の削減効果、LiDARとの連携価値が検証される。
道路の維持管理は人手依存が大きく、点検頻度や記録精度が課題となるケースは多く、今回のような複合技術の導入が自治体のDX推進に寄与すると考えられる。
※Audin AI:道路・橋梁などのインフラ点検を支援するAI解析サービス。国土交通省「点検支援技術性能カタログ」に掲載。
自治体DXの加速とデータ連携の波及効果 実装に伴う課題も残る
今回の取り組みは、自治体が抱えるインフラ点検の人手不足や記録の属人化を緩和する一助となり得る。
AIとLiDARの併用により、路面損傷の位置情報や形状を定量化できれば、作業計画の策定精度が高まる可能性がある。
さらに、画像データと点群データを組み合わせることで、道路付属物を含めた包括的な維持管理体系の構築にもつながると予測できる。
一方で、実証を本格運用へ展開するには課題も残りそうだ。
AI解析の精度は撮影条件や道路環境に左右されやすく、自治体ごとに道路構造や老朽度が異なるため、モデル調整の手間が発生する恐れがある。
また、データ形式の統一や既存業務との整合性確保といった運用面の負荷も無視できない。
それでも、今回の取り組みが成功すれば、自治体が先端技術を活用して維持管理を高度化するモデルケースとして注目を集めるだろう。
NTTフィールドテクノは今後、Audin AIの機能強化やスタートアップとの連携拡大を掲げており、社会インフラDXの進展を後押しする動きが広がると見込まれる。
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