森林伐採を抑える新発電方式 GSアライアンスが3次元型ソーラー構造を発表

GSアライアンス株式会社は日本国内での森林伐採問題を踏まえ、3次元構造を生かした新しい太陽光発電方式を考案し、実証実験を行うことを発表した。
有機薄膜太陽電池を支柱へ巻き付ける立体型の発電モデルで、2026年度初期に完成させ、実証実験することを目指す。
GSアライアンス、立体構造を活用した新型太陽光発電を発表
2025年12月2日、GSアライアンス株式会社の森良平博士(工学)は、ジャングルジムのような3次元構造を利用する新しい太陽光発電方式を考案したことを発表した。
同社は2026年度初期にモデル構築物を完成させ、実証実験を開始する計画である。
この方式は、有機薄膜太陽電池(※)を立体構造の縦横の支柱に巻き付けて発電する点が特徴だ。
同電池は半透明で曲げられるため、従来のシリコン型太陽電池のように平面を広げずとも、縦方向へ拡張できる。
支柱も透明化を前提としており、構造全体を重ねても下層部の発電が可能とされる。
背景には、国内で広く使われてきたメガソーラー発電の課題がある。
日本では平坦な土地が少なく、山林を伐採して発電所を建設する例が増加した。
森林破壊による生態系への影響、CO₂吸収源の減少、景観悪化、土砂災害リスクの上昇などが全国的に問題視されている。釧路湿原での計画もその一例として議論を呼んだ。
今回の発表では、有機薄膜太陽電池の透明度が現時点では高くなく、シリコン型より変換効率が低いことも明らかにされた。
同社は材料開発を進めるとともに、ペロブスカイト太陽電池の応用についても検討を進める。
さらに、時間帯や天候による発電量の変化、曲げ角度や回路設計の影響などを同時測定するシミュレーションも行う予定である。
※有機薄膜太陽電池:有機化合物を発電材料として用いる太陽電池。軽量・柔軟・半透明といった特性を持つ一方、変換効率や耐久性はシリコン型に比べて低い。
立体化が拓く可能性と普及への課題
今回の発表が示した事実を踏まえると、立体構造を用いた発電方式は、土地の制約が大きい日本において新たな選択肢となる余地がある。
森林伐採を伴わずに設置できる可能性は、環境負荷の低減に寄与しうる。
農地上部に空間を確保すれば、農業と発電を同時に行うソーラーシェアリングへの応用も視野に入ると考えられる。
一方で、有機薄膜太陽電池の透明度や変換効率の低さは、現段階での大きな制約となるだろう。
特に立体構造では下層への光量低下が避けられず、実効発電量が想定より低くなる可能性がある。
また、気象条件や季節変動の影響を受けやすく、構造全体の最適化には詳細なデータ取得と検証が不可欠だと言える。
ただし、材料開発が進むことで透明度や効率が向上すれば、従来型の2次元パネルでは実現できなかった高密度発電が可能となるかもしれない。
森林伐採なしで設置できる発電モデルが実用化されれば、日本の再エネ政策や土地利用計画にも一定の影響を与えるだろう。
今後の実証結果が普及の道筋を左右することになりそうだ。
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