AvacusがJPYC連携の新決済「Avacus Pay」を正式発表 QR決済型UXでWeb3利用を日常へ拡張する新モデル

2025年12月4日、SOWAKA PTE.LTD.が次世代決済ソリューション「Avacus Pay」を発表した。JPYC株式会社が発行する円建てステーブルコインJPYCに対応し、既存のQR決済と同じ感覚で使える仕組みを採用する。
Avacus、JPYC連携の新決済基盤でQR型Web3体験を提供
SOWAKA PTE.LTD.は12月4日、同社が手がけるWeb3スーパーアプリ「Avacus」で、JPYC株式会社の電子決済手段JPYCと連携した決済機能「Avacus Pay」を発表した。
アプリをインストールしたスマートフォンでQRを提示するだけで決済が成立する仕組みを採用し、既存の店舗オペレーションを損なわない点を特徴とする。
背景には、2025年8月にJPYCが資金移動業者として登録され、国内で法的に裏付けのある電子決済手段としての位置づけが確立したことがある。
Avacusはこの制度環境の変化に応える形で、JPYCを事業者が簡単に受け取りやすい環境を整え、実店舗での活用を前提にした新たなサービス設計を構築した。
Avacus Payにはガス代の処理を自動化するガスレスシステムが搭載され、ユーザーはガス代を意識せずに支払いを完結できる。事業者側は運用形態を選択でき、ビジネスモデルに応じた柔軟な設定を行える。
さらに、店舗は手数料0%で決済を受け付けられ、ポイントを自動付与するオプションも利用可能である。加えて、導入支援サービス「AIM」により、運用開始後の問い合わせ対応やレポート提供が行われる。
今後は2026年第1四半期に段階的なパイロット導入を進め、第2四半期中に100店舗への拡大を目指す計画が示されている。初年度は1,000店舗導入と月間流通額1.5億円を目標とし、JPYCを活用した日常決済の普及を進める方針だ。
手数料ゼロの衝撃と普及条件 中小店舗のDXに波及する可能性
Avacus Payは、従来型QR決済の手数料負担に悩む店舗にとって有力な選択肢になり得る。
特に小規模事業者は粗利に直結するため、0%モデルが普及すれば決済手段の再編が進む可能性がある。コストを抑えつつポイント施策で来店を促せる点も、導入を後押ししそうだ。
一方、JPYCを扱うには電子決済手段の理解が不可欠であり、普及には利用者側の認知向上が求められる。決済資産への信頼性確保が鍵となり、制度的な安定が広く浸透しなければ大規模な拡大は限定的となる懸念が残る。
普及が進めば、店舗オペレーションの簡素化や経費削減が加速し、周辺サービスのデジタル化も進展するだろう。会計処理の標準化や在庫管理との統合など、周辺領域への波及も期待できる。
さらに、ガスレス処理のような裏側の自動化技術が評価されれば、Web3基盤を採用する企業の裾野が広がる可能性がある。日常消費の場で自然に使われる体験が広まることで、デジタル決済の競争構造が再形成される展開も考えられる。
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