ジールスがホリエモンAI実装 SILK THE RICHにボイスクローン導入

2025年12月8日、国内企業ジールスは音声AIエージェント「Omakase.ai」に搭載したボイスクローン機能を、D2Cブランド「SILK THE RICH」に導入したと発表した。堀江貴文氏の声を再現した「ホリエモンAI」が24時間接客を担い、新たな購買体験を提示する。
ホリエモンAIが24時間対応 SILK THE RICHが音声接客を実装
ジールスは「Omakase.ai」に搭載した日本語ボイスクローン技術を「SILK THE RICH」へ提供し、堀江貴文氏の声・話し方・キャラクターを再現した「ホリエモンAI」を公開した。同ブランドを展開するザ・リッチは、朝倉未来氏の経営参画を機に急成長したD2C企業で、米国ではすでに英語版Omakase.aiを活用して成果を得ていた。今回の導入は、日本市場向けにより個性を反映した音声接客を目指したものだ。
ボイスクローン技術(※)は、声のトーンだけでなく、抑揚や癖まで再現できる点に特徴がある。ユーザーはまるで堀江氏本人に商品を勧められているかのような没入感を得られ、ブランドの世界観に深く入り込む体験が可能となる。堀江氏が同社へ出資している背景もあり、既存のイメージとの親和性も高い。
また、ザ・リッチは世界189カ国で展開するグローバルD2C企業で、アメリカでの音声接客の成功を基盤に、日本では“ホリエモンAI”を武器にさらなる認知拡大を狙う。ジールスとしても、ボイスクローンの第一弾として高い注目度を獲得できる取り組みであり、タレントIPとAI接客の接続による新たな市場形成を見据えている。
ボイスクローン(※):特定人物の声質・抑揚・話し方の特徴をAIが学習し、再現する技術の総称。
音声AIが変える購買心理 利点と依存リスク、広がる応用
ボイスクローンを接客に取り入れる意義のひとつは、著名人の“声”が持つ親近感や共感性がユーザー体験に寄与する点だ。
好感を抱く人物の声で説明を受けることで心理的距離が縮まり、結果としてサイト滞在時間や購買行動に一定のプラス効果が生まれる可能性がある。
特にD2C領域では、ブランド認知と体験価値を同時に高めるアプローチとして期待が寄せられている。
一方で、タレント性に過度に依存することへの懸念もある。声を用いたAI接客は印象に残りやすい反面、ブランドとして伝えたいメッセージが相対的に薄まるリスクがあるほか、タレント起用に伴うガイドライン整備も避けて通れない。
返答内容や演出の設計によっては、ユーザーに過度な違和感を与える可能性もあるため、運用面での慎重な検討が求められる。
将来的には、複数タレントの音声を組み合わせたAIコンシェルジュや、ファンコミュニティを基盤にした“声による購買体験”が拡大していくことも考えられる。
ジールスは今回の取り組みを起点に、IPを保有するブランドや企業との連携を広げる意向を示しており、音声AIがEコマース領域で存在感を高めるシナリオも視野に入る。
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