電通がW杯2026の国内放送権を取得 地上波と配信で観戦機会が拡大へ

株式会社電通はFIFAワールドカップ2026の日本国内における放送・配信権を取得したと発表した。
大会は北中米3か国で開催され、全104試合が予定されている。電通は放送局や配信事業者と連携し、多様な視聴環境の提供を進める。
電通が国内向けW杯2026の放送・配信権を正式取得
2025年12月4日、電通はFIFAワールドカップ2026の日本国内における放送・配信を含む総合的なメディアライツ(※1)を取得したと発表した。
大会は2026年6月11日から7月19日にかけて、カナダ、メキシコ、米国で開催され、48チームが参加し全104試合が行われる。
同社は、日本代表戦の視聴機会を広げたい日本サッカー協会(JFA)やJリーグの方針に賛同し、放送局やOTT事業者(※2)と連携してきた。
こうした取り組みが評価され、FIFAから正式に国内向けの権利を取得したという。
日本代表戦については、地上波でのライブ放送を含む複数形式での提供が予定されている。
さらに、動画配信サービスでは、日本代表戦を含む全104試合がライブ配信される予定である。
開催地との時差が大きい今大会では、深夜を含む多様な時間帯で試合が行われるが、オンライン視聴によって視聴者が自身の生活スタイルに合わせて試合を楽しめる環境が整備される。
電通は放送・配信体制の構築を進め、国内全体で大会の熱狂を共有できる基盤づくりを目指している。
※1 メディアライツ:大会の放送、配信、映像利用などに関する包括的な権利の総称。
※2 OTT事業者:インターネットを通じて動画などのコンテンツを提供するサービス事業者のこと(Over-The-Topの略)。
視聴体験の拡張がもたらす効果と今後の展望
放送と配信を組み合わせた今回の提供モデルは、生活様式の多様化に対応した視聴体験を可能にする。
特にオンライン視聴の柔軟性は、時間帯や場所に制約がある層にとって利便性が高く、W杯のような大型イベントへの関心を高める要因になり得る。
全試合のライブ配信が確保される点も、時差の大きい大会に適した視聴方法と言える。
一方で、複数事業者が関与する配信モデルは、権利処理や運用コストの問題が生じる可能性がある。
放送局の編成や広告収益への影響も考慮すべき点であり、事業者間の調整は避けられない。
また、視聴者の接触機会が増えることはメリットである一方、サービスごとに視聴環境が異なることでユーザー体験に差異が生まれる懸念もある。
しかし、W杯は国内外で高い注目を集めるイベントであり、スポンサーシップや広告施策において企業にとって大きな価値を持つと考えられる。
視聴接点の拡大は関連ビジネスの機会創出につながるほか、電通が構築する放送・配信基盤がスポーツコンテンツの新たな提供モデルとして浸透する可能性もある。今回の権利取得がスポーツメディア市場全体に与える影響は大きく、今後の展開が注目される。
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