auナビウォークがAIルート案内追加 自然文で要約、圏外でも利用可能

2025年12月3日、KDDIとナビタイムジャパンは歩行者向けアプリ「auナビウォーク」に、ルート検索結果をAIが自然な文章で要約する「AIルート案内」を追加したと発表した。都市部から圏外エリアまで、移動体験を最適化する取り組みとなる。
AIが行動単位で案内を生成 通常表示と切替可能な新ルート機能
KDDIとナビタイムジャパンは、歩行者向けナビアプリ「auナビウォーク」において、AIがルート検索結果を自然な文章で提示する「AIルート案内」の提供を開始した。検索後に「AIルート案内ボタン」を押すと、区間ごとの行動を中心にまとめた案内が生成され、複雑な乗換や初めて訪れる土地での移動を支援する。文章化された案内は、長い経路情報の中から重要点を把握しやすい設計になっている。
同アプリはもともと全国の路線バス・高速バス・コミュニティバスにも対応しており、本機能の追加によって鉄道とバス双方の移動がよりスムーズになる。通常の詳細案内へはワンタップで戻ることができ、混雑予測やドアの開閉方向、運行情報などの細かなデータを確認したいシーンにも対応できる。
また、本機能は「au Starlink Direct」に対応し、山間部や圏外地域でもAIルート案内/通常ルート案内の双方が利用可能だ。提供対象はau PAY(auかんたん決済)月額330円コースまたはGoogle Play決済/Apple ID決済の月額コース、Pontaパス連携特典の契約者となる。利用状況に応じて今後、日次の案内回数に上限が設けられる可能性も示されている。
移動体験の質を高めるAI案内 利便性と依存リスクの両面をどう管理するか
AIルート案内は、歩行者ナビの利便性を一段引き上げる可能性がある。
従来の情報量の多いルート表示では判断に時間がかかる場面もあったが、自然文の要約により「次に取るべき行動」を直感的に把握しやすくなることで、迷うリスクが減少する可能性がある。特に、乗換が複雑な都市部や旅先での道順確認といった判断負荷の高い場面では、一定の効果が期待できる。
一方で、要約に依存しすぎることで細部を見落とす懸念も残る。
運行トラブル、乗換ホームの位置、混雑予測といった要素は通常案内のほうが精緻であり、状況によっては確認が求められる。
今回の仕様で両表示を即座に切り替えられる点は、利便性と安全性の両立を図る工夫とみられる。
また、圏外地域でも案内が継続できることは、山岳観光や災害時の移動において安全性向上に寄与する可能性がある。
衛星通信とAI案内の組み合わせは、通信環境を問わず移動体験を支える新たな選択肢となりうる。
今後は、利用データをもとに個人の行動特性に合わせた案内精度の向上が見込まれる一方、AIが生成する文章の品質管理や誤案内を防ぐ仕組みの強化も重要になる。
将来的には、移動履歴や時間帯、天候などのコンテキストと連動した高度なパーソナライズが進む可能性がある。とはいえ、ユーザーがAIの要約を過度に信頼しすぎないよう設計する視点も欠かせず、情報の透明性や切替性がサービス価値を左右するポイントとなりそうだ。
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