東京アセットとエクスプラザ、思考型AIを共同開発 不動産企画を高度化

東京アセットソリューションとエクスプラザは、不動産企画領域を対象に“思考するエージェント型AI”「project “Camelot”」の共同開発を進めていると発表した。業界初の思考型AI(特許出願済み)を核に、企画プロセスの高度化と効率化を狙う取り組みである。
思考型AIが企画構想を補助 不動産企画の複雑性を一気に整理
2025年12月4日、東京アセットソリューションとエクスプラザが発表した「Camelot」は、敷地情報、市場データ、周辺環境といった多様な情報を横断的に処理し、企画者の思考プロセスを模倣しながら企画案を生成する“エージェント型AI”である。
不動産企画業務の現場において、初期企画フェーズでは調査・分析・構成案づくりがそれぞれ個別に行われ、属人性や時間負荷が大きい点が課題となってきた。Camelotはこれらを一体で支援し、検討速度と企画品質の向上を同時に実現する設計となっている。
背景には、不動産企画の実務が抱える構造的な複雑さがある。多様なステークホルダーの評価軸、データ収集のばらつき、過去事例への依存などが積み重なり、企画品質を安定させるハードルは高かった。
Camelotは企画コンセプト案の生成から、周辺環境分析、ターゲット設定、建築計画の骨子案、さらには資料ドラフトまでを一気通貫で提示する。一般的な提案だけでなく、新規性の高いアイデアを提示できる点も特徴だという。
また今後、MVP検証、β版開発を計画しており、2026年中にはニーズの高い企業へ試験提供を開始する計画だ。
企画プロセスの刷新が業界にも波及へ 創造性の拡張とガバナンス強化の両面
Camelotが実装されれば、不動産企画プロセスの標準化が進み、属人性の高さに依存してきた業務構造が大きく変わる可能性がある。
複雑な情報整理をAIが担うことで、企画者は構想や提案価値の強化に集中できるようになり、企画の多様性と質の底上げが期待される。とりわけ、周辺市場データや人流データを踏まえた分析を即時に反映できる点は、従来型の企画手法では得られなかった強みといえる。
一方で、AIを介した企画案の生成が一般化すれば、判断基準の透明性やデータ品質の担保といった新たな論点も生まれるかもしれない。AIの提案に過度に依存すれば、企画者側の思考精度が低下するリスクもある。
2026年以降、外部提供が本格化すれば、不動産企画業務そのものの構造変革が進み、関連領域である開発、運営、データ連携などにも波及する可能性がある。企画の初期段階を高速化しつつ、判断の深さを担保できるAI基盤が実現すれば、都市開発やまちづくりの在り方にも新たな視点がもたらされるだろう。
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