NTTテクノクロスが新「FutureVoice」提供開始 企業自らAI音声を生成可能に

NTTテクノクロスは音声合成プロダクト「FutureVoice」の新バージョンを国内で提供開始した。AI音声の自然さと選択肢を大幅に拡充し、企業が自社でオリジナルAI音声を生成できるようになる。
独自AI音声の自社生成が可能に 多言語対応も強化
2025年11月27日、NTTテクノクロスが提供を始めた新「FutureVoice」は、AI音声の表現力と再現性を向上させたうえ、企業が用途に合わせて選べる音声バリエーションを大きく広げる。
コールセンター、研修、観光案内など、実務現場での利用を想定した音声が追加され、多様な顧客接点に適用できるようになっている。
最大の更新点は、オリジナルAI音声を企業自身が生成できる仕組みを備えたことだ。
これまで生成作業はNTTテクノクロスへの委託が必要だったが、声の権利を有する企業が数秒〜数分の音声データを用意すれば、自社でAI音声を作り出し、そのままサービスに組み込める。生成スピードが向上するだけでなく、タレントやキャラクターのブランド価値をそのまま新規コンテンツに展開できる点は、エンタメ業界を中心に需要が高まるとみられる。
多言語対応も強化された。従来の日本語・英語・中国語・韓国語に加え、フランス語とスペイン語を新たにサポートした。
また、話者の声質を保ったまま多言語音声を生成できるクロスリンガル音声合成技術(※)により、講師や案内担当者が追加収録を行わずとも、多言語展開が可能になる。
NTTテクノクロスは今後、音声合成と大規模言語モデル(LLM)、さらには動画生成技術との組み合わせを強化する方針で、より高度な音声コミュニケーションサービスを目指す。
背景には、生成AIの普及による音声需要の急拡大がある。
自治体からエンタメ企業まで幅広い領域でAI音声の活用が進む中、NTTテクノクロスは2015年から音声合成市場を牽引し続け、今回の刷新でAI音声の価値をさらに高めることを実現した。
※クロスリンガル音声合成技術:一言語の音声データから話者の声質を保ったまま多言語の音声を生成する技術。
生成AIとの連携で拡大する用途 権利保護と品質管理が焦点に
新「FutureVoice」は、多言語化や独自音声生成によって用途が広がる一方、生成AI全体の高度化と連動した価値拡大が進むとみられる。カスタマーサポートや教育コンテンツの自動生成が一段と効率化するなど、企業の省力化に寄与する場面も増えるだろう。
メリットが広がる一方、音声権利の保護と品質管理がリスクとなりそうだ。企業側でAI音声を生成できるようになることで、音声データの扱い方や契約条件がこれまで以上に厳密に問われることとなるだろう。
とはいえ、eラーニングや観光案内など、多言語化が求められる領域では導入メリットが大きく、海外展開を見据える企業にとっても相性が良いと言える。
AI音声は企業ブランディングの新たな資産となりつつあるため、音声生成を内製化できる今回のアップデートは、その潮流を加速させるきっかけになりそうだ。
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