AWS、開発・運用・セキュリティを統合する三種のAI「Frontier Agents」を公開

2025年12月2日、米Amazon Web Services(AWS)は年次イベント「re:Invent」で、ソフトウェア開発を支援する3種のエージェント型AI「Frontier Agents」を発表した。
開発・セキュリティ・運用を自律的に補完する新カテゴリのAIとして幅広い利用が想定される。
AWSが自律型AI「Frontier Agents」を3領域で提供開始
AWSは、開発チームの一部として長時間自律的に稼働できる新クラスのAI「Frontier Agents」を公開した。
初期ラインアップは、開発向けの「Kiro autonomous agent」、セキュリティ領域を担う「AWS Security Agent」、運用監視を支援する「AWS DevOps Agent」の3種類となる。
Kiroは、コード生成だけでなく設計意図や過去履歴を保持しながら学習し、個別プロジェクトに最適化される点を特徴とする。
仮想的な開発者として独立してタスクを遂行する設計で、担当者の優先業務への集中を促す役割を担う。
Security Agentはアプリ設計の脆弱性レビュー、コード診断、ペネトレーションテストなどを自動化するモデルだ。
設計段階から運用フェーズまで一貫して、セキュリティ品質を確保する。
DevOps Agentは、障害対応の自動化や予兆検知に対応し、信頼性向上に寄与する。
稼働状況を学習しながら改善案を提示することで、アプリパフォーマンスの継続的な最適化につながるとされる。
AWSはこれらのモデルについて「自律的で拡張性があり、継続的な介入なしに数時間から数日間稼働する」と説明している。
開発の自動化は加速へ ただし依存リスクや統制課題も残る
AWSが提示した「Frontier Agents」は、開発・運用・セキュリティという本来分断されがちな領域を横断し、自律的に補完する点に最大の意義があると言える。
Kiroのように設計意図や履歴を記憶しながら最適化していく仕組みは、個別プロジェクトの“文脈”を理解するAIとして、従来の汎用的なコード生成モデルより一段深い生産性向上をもたらす可能性が高い。
Security Agentが設計段階から脆弱性を洗い出し、DevOps Agentが障害予兆をとらえる構造は、組織全体のMTTR短縮や品質保証の仕組みを底上げするだろう。
一方で、自律稼働を前提としたエージェントは、誤推論や誤行動が数時間〜数日間にわたり連鎖するリスクを内包する。
とくにSecurityやDevOpsは誤作動が即インシデントの誘発につながりかねないため、監査性と停止基準の設計が必須になるはずだ。
Frontier Agentsは、既存の開発・運用プロセスを効率化し、専門家の判断を補助する形で組織に根づいていく可能性が高い。
中長期的には、特定領域での“部分的な自律性”が積み重なることで、企業ごとに異なるワークフローへ自然と適応していくAIツールとして成熟していくと考えられる。
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