ストラテジー、14.4億ドルの準備金を設定 130BTC追加取得で保有拡大も継続

米上場企業ストラテジーが14.4億ドル規模の米ドル準備金を新設したと発表した。
優先株式の配当や未払債務の利払いに充てる目的で、ATMプログラムを通じた株式売却収益を原資としている。
あわせて11月に130BTCを追加購入し、同社のBTC保有量は約65万BTCへ増加した。
14.4億ドルの米ドル準備金設定とBTC追加購入を発表
2025年12月1日、ストラテジーは、14.4億ドル(約2,242億円)の米ドル準備金(USD Reserve)を設定したと発表した。
この準備金は、同社が発行する優先株式の配当や、未払債務に対する利払いを支援する目的で設立された。
原資には、同社のATMプログラム(※)を通じたクラスA普通株式の売却収益が充てられている。
同社は、少なくとも12カ月分の配当支払いに対応できる規模の米ドル準備金を維持する必要があると説明している。
また、時間をかけて24カ月以上の配当をカバーできる体制の構築を目指す方針も示された。
社長兼CEOのフォン・レ氏は、ストラテジーが現在65万BTCを保有していることや、今回の準備金が21カ月分の配当をカバーする水準にある点についてコメントした。
市場データとして、ヤフーファイナンスでは12月1日の株価が前日比8%超下落し、157ドル付近で推移したことが確認されている。
さらに、11月17日から11月30日にかけて130BTCを約1,170万ドルで取得したと公表した。
1BTCあたりの取得額(手数料・経費込み)は約8万9,960ドルとなり、11月30日時点での総保有量は約65万BTCに達した。
総取得額は約483億8,000万ドルで、平均取得単価は7万4,436ドルとされている。
※ATMプログラム:市場価格に合わせて小口で株式を売却し、企業が効率的に資金調達を行う仕組み。発行タイミングを柔軟に調整できる点が特徴となる。
準備金拡大とBTC保有戦略が企業に与える影響
今回の米ドル準備金設定は、同社にとって財務面の安定性を高める施策として位置づけられる。
配当や利払いに必要な原資を確保することで、短期的な資金変動の影響を抑えやすくなり、企業としての信用性を維持しやすくなる可能性がある。
一方で、株式売却を原資とする手法は希薄化リスクを伴うため、市場心理にネガティブな影響をもたらす側面も考えられる。
BTC保有量を拡大し続けている点も同社戦略の特徴であり、デジタル資産を長期的な企業価値の一部として位置づけている姿勢がうかがえる。
大量保有による潜在的な利益は大きい一方で、市場価格変動により評価損益が大きく振れるリスクが常に存在する。
また、準備金を24カ月以上の配当に対応できる規模に拡大する方針は、中長期的な財務の安定を重視する姿勢を示しているといえる。
ただし、拡大ペースや調達手段については、市場環境や株価の動向に影響を受ける可能性があるため、柔軟な調整が求められる点も指摘できる。
BTC追加購入と準備金拡充の組み合わせは、デジタル資産戦略と財務安定を両立させようとする動きの一環と考えられるが、その効果は今後の市場動向や株価推移によって左右されるとみられる。
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