パレンテが「AIコンタクト社長」始動 多言語で専門知識発信、ECの新段階へ

2025年12月1日、コンタクトレンズEC大手のパレンテは、YouTubeチャンネル「コンタクト社長よしだちゃんねる」で生成AIを使ったデジタルヒューマン「AIコンタクト社長」の運用を開始したと発表した。代表の吉田忠史氏をモデルにしたAIが、専門知識を多言語で世界へ届ける。
パレンテがAI社長を公開、コンタクト知識を世界向けに配信開始
パレンテは、コンタクトレンズ専門チャンネル「コンタクト社長よしだちゃんねる」で、生成AIを基盤としたデジタルヒューマン「AIコンタクト社長」の活動を開始した。吉田忠史代表取締役の外観・声をベースにAIプラットフォームで生成したキャラクターであり、英語・中国語を含む多言語展開、視聴者参加型コンテンツへの拡張を予定している。
同チャンネルは2021年に開設され、コンタクトに関する情報や雑学、正しい装着方法などを発信してきた。今回のAI化によって、世界中の視聴者が母語で専門情報に触れられる仕組みを整えたことになる。
吉田代表は「”24時間365日、世界で一番コンタクトに詳しい社長”を目指す新たな取り組み」と述べ、AIにコンタクトレンズの歴史や正しい使い方、ブランドの違いなど膨大な専門情報を学習させる方針を示した。世界中から寄せられるコメントへの即時対応など、AIならではの運用を想定している。
開発・運用には、ULTRA SOCIALの生成AI搭載デジタルヒューマン型ソリューション「Spaike(※)」が採用された。
※Spaike(スパイク):生成AIにより人物の容姿・音声・動作を統合生成するデジタルヒューマン型ソリューション。
AI化で広がるECの専門動画市場 信頼性とリスク管理が成否を握る
パレンテの取り組みは、EC事業者が自社の専門性をAIで拡張し、ブランドの認知と教育コンテンツを同時に強化する新しいモデルと位置づけられる。とくにコンタクトレンズのように規格・使用方法・健康リスクが国や地域で異なる商品は、多言語で正確な情報を届けるメリットが大きい。AIキャラクターが常時対応することで、国際市場に向けた顧客接点を飛躍的に広げられる可能性がある。
一方で、AIが提供する情報の精度と監修体制は大きな課題となる。特にコンタクトは医療関連商品に分類されるケースが多く、誤情報が視聴者の健康リスクにつながりかねない。この点で、どこまで人間のチェックを伴わせ、ブランドとしての責任を果たすかが問われるだろう。
また、AIキャラクターは運用次第で企業の透明性向上に寄与する反面、過度な自動化によってメッセージの一貫性や信頼性が揺らぐ可能性もある。生成AIは表現のブレが生じやすく、ブランドイメージを損なうリスクをどうコントロールするかが鍵になるとみられる。
それでも、今回の取り組みが軌道に乗れば、他のEC企業が同様のデジタルヒューマン活用に踏み出す契機となり、専門領域の動画コンテンツ市場が拡大する可能性がある。AIと動画プラットフォームの融合が進む中、パレンテがどこまでグローバル視聴者を獲得できるかが、NEXTステージの指標になると言える。











