AWSが次世代AI「Amazon Nova 2」を公開　推論精度と価格性能比を大幅刷新

2025年12月2日、米アマゾン傘下のAWSは自社AIモデルの新世代版「Amazon Nova 2」を発表した。高度な推論能力とコスト効率を両立し、Bedrock経由で利用可能になった。
LiteとPro（プレビュー）の2種が公開されており、企業のAI活用がさらに加速すると見られる。

AWS、推論性能を刷新した「Nova 2」をBedrockで提供開始

AWSは2025年12月2日、基盤モデル「Amazon Nova 2」を正式発表し、Amazon Bedrock上での提供を開始した。
ラインアップは日常業務向けの「Nova 2 Lite」と、高度な多段思考タスク向けの「Nova 2 Pro（プレビュー）」の2種類で構成される。
モデル性能は前世代から大きく向上し、推論過程を段階的に展開するステップ推論（※）やタスク分解を標準搭載している。

今回のモデルは、処理速度・コスト・知能レベルのバランスを開発者が選択できる「思考強度」設定（低・中・高）を備える。
これにより、顧客対応チャットボットの高速応答から複雑な業務自動化まで、幅広い用途に合わせた運用が可能になるという。
さらに、100万トークンの長大なコンテキストウィンドウを搭載し、より豊かなインタラクションを実現するという。

Nova 2 Liteは価格性能比を重視したモデルで、文書処理、BPO自動化、顧客サポートなどの日常業務をサポートする。
SFTによるカスタマイズがBedrockとSageMaker上で可能で、SageMakerではフルファインチューニングにも対応する。

一方、Nova 2 Pro（プレビュー）は、動画推論やソフトウェア移行支援といった高度なエージェントタスクが想定用途で、Nova Forgeユーザーには早期アクセスが提供されている。

※ステップ推論：複雑な課題を複数の中間ステップに分解し、段階的に結論へ到達する推論方式。

AIエージェント時代を加速　価格性能競争と運用リスクの見極めが焦点に

Nova 2シリーズの公開は、AIエージェント活用の本格普及を後押しすると見られる。特に、高度推論に必要なマルチステップ処理や長文解析が標準機能として利用可能になったことで、企業はより複雑な業務フローをAIに委ねやすくなるだろう。
コスト効率にも優れるため、既存の運用ワークロードを広範囲に置き換える余地が広がりそうだ。

一方で、推論自由度の高いモデルほど、結果の説明可能性や誤推論リスクの管理が課題として浮上しやすい。
思考強度の設定によって品質と速度のバランスを調整できる反面、企業は適切な運用ガイドラインを設計しなければならない。特に、法務・金融など高信頼性が求められる領域では、モデルの透明性確保とガバナンス体制の整備が不可欠になるだろう。

市場全体では、長大コンテキストと推論機能を備えた基盤モデルが主流化しつつあるため、AWSの参入強化は競合各社の価格性能戦略にも影響を与える可能性がある。
また、Bedrockのグローバル提供拡大により、企業はリージョンを横断した推論基盤を構築しやすくなるため、生成AI導入の地理的ハードルも低下するかもしれない。
Nova 2の登場は、より実務指向のAI利用を急速に押し広げる可能性が高いと言える。

AWS ニュースリリース

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