ツルハとウエルシアが経営統合を完了 国内ドラッグストア最大グループ誕生へ

株式会社ツルハホールディングスとウエルシアホールディングス株式会社は、日本国内において経営統合の完了を正式に発表した。
両社は今年4月にイオン株式会社を含む最終契約を締結しており、2025年12月1日の株式交換効力発生をもって統合が成立した。
国内最大のドラッグストアグループが正式に発足
ツルハホールディングス(ツルハHD)とウエルシアホールディングス(ウエルシアHD)は、2025年4月に締結した最終契約および株式交換契約に基づき、株式交換の効力が発生し、両社の経営統合が正式に成立したと2025年12月1日に発表した。
今回の手続きにより、ウエルシアHDはツルハHDの完全子会社となり、両社の売上高は合計で2兆円を超える規模に達した。
国内ドラッグストア市場における最大グループが誕生することになった。
両社はいずれも医療・健康分野の地域格差が拡大するという課題認識を共有し、「未病」「予防」「治療」を包括するヘルスケア領域での貢献を掲げてきた。
経営統合にあたりそれぞれが掲げてきた、生活に豊かさと余裕を提供すること、豊かな社会生活と健康な暮らしを提供するといった理念をより強固なものとし、地域社会の健康基盤を支える存在になることを目指している。
さらに両社は、店舗網や人材、調達力、ヘルスケアデータを統合し、生涯にわたって生活を支える「ライフストア」へと進化を図る方針を示した。
全国約5,600店、約5万人の医療関連資格者、1億件超のヘルスケアデータ基盤を活用し、アジアNo.1のグローバルドラッグストアチェーンを目指すとしている。
統合がもたらす成長余地と課題 地域医療の拡張と競争の再編
今回の経営統合により、両社が持つ顧客基盤や店舗網、調達力が結集し、国内外での成長機会を拡大させる可能性が高い。
とりわけ、医療・健康領域で「未病・予防」分野の需要が高まっている背景を踏まえると、統合によって得られる規模のメリットは、地域サービスの高度化を後押しすることだろう。
ASEANなど海外市場における展開余地も広く、両社の協働が新たな事業機会につながると考えられる。
一方で、統合作業に伴うシステム統合や人材配置の最適化には時間とコストがかかるだろう。
特に、店舗運営のオペレーション標準化やサプライチェーン統合など、実務レベルの調整は大きな負荷となりうる。
また、2兆円超の巨大グループ化によって競合他社との競争環境も変化し、価格戦略や地域サービスの差別化がより重要になると言える。
加えて、「ライフストア」構想を推進するには、データ活用の高度化や専門職人材の育成が不可欠であろう。
ヘルスケアデータの活用にはセキュリティ確保や透明性の担保が求められるため、顧客の信頼維持が鍵になると考えられる。
国内市場が成熟する中、アジア市場を視野に入れた同社のグローバル展開の動向に今後も注目したい。
ツルハホールディングス・ウエルシアホールディングス・イオン プレスリリース
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