日本政府が人型AIロボ計画を始動 2030年に自律型試作機、50年に実用化構想

2025年11月28日、日本政府は総合科学技術・イノベーション会議で、人型の生成AIロボット開発を国家プロジェクトとして進める方針を正式に決めた。国内の研究者を公募し、2030年に自律型の試作機を完成させる計画が示された。
政府、汎用・自律型の人型AIロボ開発を国家目標に設定
政府は「ムーンショット型研究開発制度(※)」の新たな目標として、人が行う多様な作業を代替できる汎用性と、自ら環境を判断して動作する自律性を備えた人型ロボットの開発を掲げた。
会議では、これを2050年までに社会実装する長期計画として位置づけている。
背景には、生成AIの高度化により、物体認識や状況判断といった実空間処理の精度が大幅に向上したことがある。これまで実験段階にとどまっていた家庭・職場での人型ロボ利用が、技術的に現実味を帯び始めたと判断されたという。
政府は企業・大学を対象に研究チームの公募を開始し、2030年に自律動作が可能な試作機を開発する。資金面では国が研究費を投入し、基礎技術から応用設計まで一体的に支援する方針を示している。
※ムーンショット型研究開発制度:従来技術にとらわれず、社会課題の解決や破壊的イノベーションを目指す日本政府の大型研究支援制度。
生活・産業の自動化が進展も、倫理基準と安全規制の整備が焦点
人型AIロボットの開発は、労働力不足の解消や危険作業の代替に貢献する可能性がある。
特に、介護や物流など人手が不足する領域では作業負荷の軽減が期待できる。高齢化が加速する日本にとって、生活支援ロボの普及は大きなメリットと言える。
一方、汎用性の高いロボットが社会に浸透する場合、誤作動や意図しない行動に備えた安全基準の策定が欠かせないだろう。自律判断をどこまで許容するか、責任の所在をどう定義するかといった課題は今後の主要テーマになると考えられる。
さらに、生成AIが扱うデータの保護やプライバシー確保も無視できない。
家庭内で常時動作するロボットが普及すれば、情報管理の不備が大きなリスクにつながる可能性もある。
今後は技術開発と並行して、倫理指針や規制の整備を進める必要があるだろう。
内閣府 ムーンショット型研究開発制度5年目評価(目標3)資料
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