クマ被害を未然に防ぐ全国地図「くまっぷ」公開 目撃情報の即時共有を可能に

2025年11月26日、国内のスタートアップ企業Xenonがクマ目撃情報の共有サービス「くまっぷ」を正式公開した。
全国の出没・痕跡・被害情報を地図上で可視化し、住民や自治体の安全対策を支援する仕組みとして注目できる。
全国のクマ出没を一元把握する安全地図サービスが稼働
Xenonが公開した「くまっぷ」は、全国のクマ目撃情報を誰でも投稿・閲覧できる地図サービスである。
近年、クマの人里への出没や人的被害が増加しており、地域での迅速な情報把握は喫緊の課題となってきた。
従来、都道府県ごとに発信形式が異なり、情報が分散している点が問題視されていたが、本サービスは行政区分を越えて情報を一元化する点に特徴がある。
住民は会員登録不要で匿名投稿が可能で、目撃地点や痕跡を地図上に直感的に示せるよう設計されている。投稿は即座に反映されるため、危険エリアを視覚的に把握しやすい。
これにより、山間部の住民や登山者がリスクを事前に認識できるようになる。
また自治体や研究機関に向けて「テナント機能」も用意されている。
公式投稿マーク(認証バッジ)が付与されるため、一般投稿との区別が容易になり、住民にとって信頼度の高い情報を受け取れる仕様だ。
さらに、OpenAPI仕様(※)で提供されるAPIにより、既存の防災システムや自治体内の情報基盤と連携できる利点もある。
※OpenAPI仕様:APIの設計・定義を標準化するための国際的な仕様。複数システム間の連携を効率化する目的で利用される。
自治体との連携で広がる可能性 分析・通知など高度化も
「くまっぷ」は今後、自治体の防災インフラとして活用されることを視野に入れており、サービス拡張の計画も進んでいる。
まず、蓄積された投稿データを用いた分析ダッシュボードが提供予定で、季節ごとの出没傾向や行動パターンを可視化できるようになる予定だ。
この機能が実装されれば、自治体の施策立案や研究機関の生態調査に資する可能性がある。
また、特定エリアへの投稿をリアルタイムで通知する仕組みも開発中だ。これにより、担当者が現場の状況を即座に把握し、迅速な注意喚起や初動対応が可能になる見込みだ。
一方で、ユーザー投稿の信頼性確保が課題として残る側面もありそうだ。
具体的には、公式投稿との明確な区別をどう運用に落とし込むかが問われるだろう。
地域ごとの差異を踏まえた柔軟な実装が可能になれば、行政区分を越えた広域情報網の構築も進む可能性がある。
クマの生息域拡大が進む中、技術と地域協力を組み合わせた新たな安全対策として「くまっぷ」がどこまで浸透するか、引き続き注目したい。
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