北紡、ビットコイン半数をレンディング SBIデジタルファイナンス活用

2025年11月26日、東証スタンダード上場の繊維メーカー北紡が、SBIデジタルファイナンス提供のサービスを活用し、ビットコイン(BTC)の運用を開始すると発表した。
国内上場企業による暗号資産活用が広がる中、同社は保有BTCの半数を12月9日から貸し出す計画を示した。
北紡、保有BTCの半数を貸し出しへ 法人向け金利も適用
北紡は、SBIデジタルファイナンスが提供する暗号資産レンディングサービスを活用し、ビットコインの運用を開始する。
運用開始日は12月9日で、同社が保有するBTCの約半数を対象に貸し出しを行う予定だ。
金利は市場環境や貸出期間に応じて変動する設計だが、両社のパートナーシップに基づき、法人向けのパートナー金利が適用される予定だという。
北紡の11月5日時点の発表によれば、同社が保有するBTCは9.25BTCに達している。同社は2024年以降、暗号資産やRWA(※)関連事業への参入姿勢を強めてきた。
5月には暗号資産・RWA領域への進出を正式発表し、7月にはTHASH BIG DATA MANAGEMENT GROUPとの合弁会社「キタボウクリプトソリューション」を設立する決議を行った。
さらに8月には国内の暗号資産交換業者ビットトレードとMoUを締結し、環境領域をテーマにした独自トークン発行の可能性を模索している。
一方、SBIデジタルファイナンスは2024年4月に設立され、HashHubから暗号資産レンディング事業を承継した企業である。
同社の代表はWeb3カンファレンス「WebX」元CEOの青木誠泰氏で、国内企業のデジタル資産活用を促進する取り組みを進めている。
※RWA:Real World Assets(実世界資産)の略称。ブロックチェーン上で現実世界の資産をトークン化して扱う仕組み。
BTC運用で財務効率向上へ 製造業にも広がるWeb3活用の波
北紡がBTC運用に踏み出した背景には、現金の利回り確保が難しい中で新たな財務戦略を模索する事情がある。
レンディングは保有資産を手放すことなく利回りを得られる点が魅力であるため、BTCの活用幅を広げる手法として注目されている。
メリットとしては、余剰資金の機動的な活用と収益源の多様化が挙げられる。製造業は資本集約的であるため、資金効率の改善は中長期的な競争力に直結し得る。
BTCの価格変動リスクを抑えつつ金利収入を得られる点は、財務戦略として合理性があると言える。
しかし、暗号資産市場のボラティリティが高いことに加え、レンディング先の信用リスクは完全には排除できない。
SBIデジタルファイナンスのように大手傘下の事業者であっても、暗号資産領域特有のオペレーションリスクは残るため、企業側のリスク管理体制が問われる場面も増えるだろう。
今後は製造業や地方企業でもBTC活用を検討する動きが広がる可能性がある。
北紡のように、Web3関連ビジネスを新たな事業領域として位置づけるケースは増えているため、既存産業を軸にしながらデジタル資産を組み合わせた新たな経営モデルが形成されると見られる。
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