ソフトバンク、Ampereを65億ドルで買収完了 AI計算基盤とArm陣営強化を加速

2025年11月26日、ソフトバンクグループは米Ampere Computingの買収完了を正式に発表した。買収額は65億ドルで、AI時代の計算基盤を自社グループ内に取り込む動きが一段と強まっている。
Ampere買収でArm陣営を強化 AIインフラ戦略の中核に
ソフトバンクグループは、3月に公表していたAmpere Computingの買収を正式に完了した。Ampereはインテルの元幹部ルネ・J・ジェームズ氏が2017年に設立した米半導体設計企業で、Arm系CPUを中心に大規模なデータ処理・AI分野に特化した設計力を持つ。今回の取引により、Ampereは日本企業の完全子会社となった。
市場では本件が成長戦略の強化と受け止められ、ソフトバンク株は東京市場で一時8%上昇し、最終的に5.1%高で引けた。財務面への詳細な影響は精査中とされている。
ソフトバンクは今年3月、「Ampereの専門性はArmの設計力を補完する」と強調していた。Armアーキテクチャを軸にしたサーバー向けCPU需要が拡大する中、Ampereの子会社化はArm陣営の裾野を広げる効果をもたらす。さらに、同社の技術はOpenAIをはじめとする生成AIインフラの急速な拡張に対応する重要な計算資源となりうる。
一方、孫正義氏は半導体領域での再投資を強めており、直近ではエヌビディア株を全て売却してOpenAIへの追加投資資金を確保した。OpenAIは米国内で大規模AIインフラ「Stargate」の計画を進めており、その周辺領域でソフトバンクが主導権を狙う構図がうかがえる。
AI競争を左右する計算資源争奪戦 統合効果と不確実性の両面
今回の買収により、ソフトバンクはAI計算基盤の上流に位置するCPU設計力をグループ内へ取り込み、Armアーキテクチャを軸にしたエコシステムを拡張する余地が広がったとみられる。Ampereが持つArm系チップの開発・テープアウトの専門性は、同社が過半数を保有するArmの設計力を補完する形で統合が期待されており、戦略的な選択肢を増やす効果が指摘されている。
また、クラウドやデータセンターの電力効率向上は、生成AIの拡張に伴い重要度が増しており、Ampereの設計思想がこうした領域と一定の親和性を持つとの見方もある。ただし、実際の性能向上や事業面での寄与については中長期的な検証が必要で、現時点で収益へ直結するかどうかは不透明だ。
一方、AIモデルを巡る競争環境は急速に変化している。グーグルのGemini 3は高い推論能力を持つとされ、OpenAIの競争力に対する市場の懸念が株価変動につながった局面もあった。こうした動きは、OpenAIへの巨額投資を進めるソフトバンクにとって、事業戦略に一定の不確実性を伴う可能性を示唆している。
それでも、ArmとAmpereを抱える構造は、ソフトバンクが長期的にAIインフラへの関与度を高めるための基盤となりうる。生成AIの計算需要が拡大し続けるなか、クラウド事業者やAI企業との連携が進めば、同社がアジア圏で計算基盤に関与する場面が広がる可能性もある。
今後は、Arm・Ampere・OpenAIの三者間でどの程度シナジーが実装されるかが、投資戦略の実効性を左右する焦点となりそうだ。
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