バイナンス、富裕層向け暗号資産管理を発表 直接対応型サービスに転換

海外暗号資産取引所大手バイナンスが、富裕層や機関投資家を対象とした新サービス「バイナンス・プレステージ」の提供開始を発表した。TradFi(従来型金融)領域の資産運用者に暗号資産投資を包括的に支援するものだ。
富裕層が直接暗号資産へ投資可能に 新支援体制始動
2025年11月26日、バイナンス(Binance)は、富裕層向け新サービス「バイナンス・プレステージ(Binance Prestige)」の提供開始を発表した。
ファミリーオフィスやプライベートファンドなど資産高額層の投資家が暗号資産市場へ直接参入できるよう、オンボーディングから法定通貨サービス、資金調達までを一体的にサポートする。
サービスは6つの領域で構成され、法定通貨アクセスやストラクチャードプロダクト(※)、機関投資家レベルのカストディ(保管)機能も含まれる。
英オルタナティブ投資運用協会オルタナティブ・インベストメント・マネジメント・アソシエーション(Alternative Investment Management Association:AIMA)の調査では、2025年には伝統的ヘッジファンドの55%が暗号資産へのエクスポージャーを保有しており、前年の47%から増加したとのこと。
バイナンスは2024年10月にウェルスマネージャー経由の「バイナンス・ウェルス」を導入していたが、今回は仲介者を介さず投資家本人に直接対応する構造に転換している点が特徴だ。
※ストラクチャードプロダクト:複数の金融商品を組み合わせた投資商品で、特定のリスクや収益特性を持たせたもの。
資産流入拡大の期待と規制面の課題 市場への波及に注目
今回の新サービスは、暗号資産市場の信頼性向上と富裕層マネーの流入を後押しするとみられる。高度な資産管理支援により投資判断がしやすくなり、流動性の増加につながる可能性がある。
一方で、直接投資型であるため、各国の金融規制との整合性が求められ、法的リスクへの対応が不可欠となるだろう。
投資家にとってのメリットは、従来型資産と同等の管理・報告体制が確保される点である。特にファミリーオフィスは多様な資産クラスを横断的に扱うため、暗号資産管理の一元化は効率化につながると考えられる。
ただし、市場価格変動や規制強化による流動性低下といったリスクも避けられず、慎重な資産管理姿勢が求められる。
今後は、類似の富裕層向けサービスが各社で拡大し、伝統金融と暗号資産の融合が一層進む可能性がある。市場の成熟度を測る上でも注目度は高いと考えられる。
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