USバンク、ステラで銀行向けステーブルコイン検証 金融機能統合へ一歩前進

2025年11月25日、米U.S.バンクがステラ開発財団(SDF)と協力し、ステラネットワーク上で独自ステーブルコインを発行する技術検証を開始したことが発表された。
銀行向けの厳格な要件に対応した運用モデルを探る動きであり、米金融機関によるステーブルコイン活用が加速する可能性がある。
USバンクがステラ上で独自ステーブルコインの要件検証
11月25日のSDFの発表によると、U.S.バンクはステラ(Stellar)ネットワークを用いて、銀行が独自ステーブルコインを発行・管理するための要件をテストしている。
今回の取り組みには大手監査法人PwCも参加しているが、PwCの役割の詳細は公表されていない。
SDFはステラが「10年以上にわたる99.99%の稼働率」「3〜5秒の高速決済」「低コスト取引」を特徴としていると述べている。
U.S.バンクのデジタル資産部門を率いるマイク・ヴィラーノ氏は、同行の公式ポッドキャストで「ステーブルコインの銀行利用にはKYC(顧客確認)や資産凍結、取引の巻き戻しといった機能が求められる」と語った。
伝統金融の内部統制を損なわずにブロックチェーンを組み合わせることが、今回の検証の焦点になっているとみられる。
米国では大手金融機関によるステーブルコイン領域への関心が高まっており、シティグループがカストディ提供を検討するほか、ファイサーブやバンク・オブ・アメリカも関連事業を模索している。
金融機関が自前のステーブルコインを検証する事例は増えつつあり、その潮流の中でU.S.バンクは先行的なポジションを取りに行っていると言える。
金融機関の参入拡大へ 利便性向上と規制強化の両立が課題に
銀行がステーブルコイン発行を進めることで、送金・決済の低コスト化や24時間稼働の即時決済といったメリットが広がる可能性がある。
特に国際送金や企業間決済では、従来のインフラよりもコストと速度を改善できる余地が大きく、金融業務の効率化が期待される。
一方で、銀行が自前でステーブルコインを扱う場合、規制要件との整合性が大きなハードルになりうる。
資産裏付けの透明性、利用者保護、取引監視といった要素は、既存の金融規制とブロックチェーン上の仕組みをどのように統合するかが問われる領域であると言える。
また、独自ステーブルコインが乱立すると市場の互換性が失われる可能性があるため、銀行間の共通基準づくりが今後の論点となりそうだ。
とはいえ、U.S.バンクの取り組みは、伝統金融がブロックチェーン活用を実務に組み込む段階に近づいていることを示す象徴的な動きだと評価できる。
今回の検証結果が成功すれば、米国銀行業界におけるステーブルコイン導入の指針となり、金融インフラの再編を促す可能性がある。
関連記事:
ペイパル、自社ステーブルコイン・PYUSDをステラに拡大 中小企業の即時資金調達を支援












