テキサス州がビットコイン準備金へ初投資 IBIT経由で500万ドルを配分開始

2025年11月26日、米テキサス州が戦略的ビットコイン準備金に対する初の資金配分を開始したことが報告された。
取得はブラックロックの現物ETF「IBIT」を通じて実施され、同州が6月に成立させたSB21法に基づく取り組みの第一弾となる。
テキサス州、IBIT購入で戦略的ビットコイン準備金を始動
テキサス・ブロックチェーン評議会のリー・ブラッチャー会長は11月26日、テキサス州が初めてビットコイン(BTC)を取得したとXで明らかにした。
購入手段には、ブラックロックが運用する現物ETF「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)」が用いられた。
州は将来的にBTCを自主管理する計画だが、自己保管プロセスのRFP(※)が進行中であることから、初回はETFによる取得が選択されたという。
今回の購入額は500万ドルで、1BTCあたりの基準価格は約87,000ドルとなる。ビットコイン準備基金法であるSB21法により創設された「テキサス戦略的ビットコイン準備金」は最大1,000万ドル規模の資産保有を認めており、初配分としては枠の半額が投じられた形だ。
法案提出者であるシュワートナー上院議員は「過去10年間で最もパフォーマンスの高い資産を評価する選択肢を州が持つべきだ」と述べ、BTCを長期資産として評価する姿勢を示している。
IBIT自体の機関保有も急増している。ハーバード大学は約4.4億ドル分を保有し、ブラウン大学、ウィスコンシン州投資委員会、アブダビの政府系ファンド・ムバダラ、金融大手ゴールドマン・サックスやバークレイズも取得量を拡大している。
ブルームバーグのETFアナリスト、エリック・バルチュナス氏は「政府系ファンド、ハーバード、そして米国の州にまで保有されるETFは極めて異例」と指摘しており、IBITの存在感は急速に高まっている。
※RFP(Request for Proposal):行政機関や企業が業務委託先を選ぶために発行する提案依頼書。業務内容や要件を提示し、受託希望者からの提案を募る文書を指す。
州政府参入でETF市場拡大へ 期待と不確実性が並存
テキサス州の参入は、ビットコイン現物ETF市場にとって追い風になると考えられる。
規制された証券としてIBITを保有できる点は、大学基金や政府系ファンドだけでなく、州政府のような公的主体にとってもアクセスしやすい。
一方で、デメリットも無視できない。ビットコイン価格の大幅変動は州の財務リスクにつながるほか、自己保管への移行後はセキュリティや運用体制が新たな課題となりうる。
特に公的資金を扱う以上、リスク管理の透明性や説明責任は他の機関投資家よりも厳しく問われるだろう。
それでも、州政府のアセットマネジメントにビットコインが組み込まれた意義は大きい。ETF需要がさらに拡大すれば、機関投資家の参入基盤が強化され、ビットコインを巡る金融インフラの整備も進むと考えられる。
今回の決定は、米国における公的主体と暗号資産の関係が新たな段階へ移行した象徴的な出来事と言える。
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