ムーンペイがNY州信託認可を取得 米国で暗号資産の保管とOTC提供が可能に

暗号資産決済プロバイダーのムーンペイ(MoonPay)は、米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)から信託認可を取得し、限定目的信託会社として暗号資産の保管およびOTCサービスを提供できるようになったと発表した。
米国規制下で事業領域が広がる公的認可である。
ムーンペイ、NY州信託認可で保管とOTC提供を正式に開始可能
2025年11月25日、ムーンペイは、NYDFSからニューヨーク州信託認可を取得し、限定目的信託会社(LPTC)として暗号資産の保管と店頭取引(OTC)サービスの提供が認められたと発表した。
同社は今回の認可により、規制当局の枠組みに基づいて米国内でこれらのサービスを展開できる体制を整えた。
同社は6月4日、NYDFSからビットライセンスおよびマネートランスミッターライセンスの承認も受けており、米国50州でのサービス提供が可能になっていた。
今回の信託認可は、その上で顧客資産を受託・保護するための法的資格が付与された形となる。
信託認可の取得により、ムーンペイは今後、米国のステーブルコイン規制法「ジーニアス法」に準拠したステーブルコインを発行できる可能性があるとしている。
同法に基づく発行資格には厳格な基準が設けられており、信託会社としての認可はその前提条件に該当する。
また、ニューヨーク州で信託認可とビットライセンスの双方を取得した暗号資産関連企業は限られており、コインベース、ペイパル、リップルなど少数の大手企業が該当する。
ムーンペイは今回の認可取得により、同州の高い規制基準を満たす事業者の一つとなった。
認可取得がもたらす波及効果 信頼性向上と競争環境の変化
ムーンペイがNY州信託認可を取得した意義は、顧客資産を扱う基盤が強化された点にある。
特にカストディとOTCは機関投資家が利用を検討する際の重要な条件となりやすいため、安全性や法的な裏付けが明確化されたことで、企業や金融機関が同社サービスを利用しやすくなるだろう。
また、ジーニアス法に準拠したステーブルコイン発行の可能性が開かれた点も、将来的な事業選択肢を広げる材料となり得る。
規制法に沿って発行されるステーブルコインは透明性や準備資産の厳格管理が求められ、ユーザーからの信頼を得やすい特徴を持つ。この枠組みを活用できる立場を確保したことは、ムーンペイにとって中長期的な競争優位に寄与する可能性がある。
一方で、信託認可の取得は高度なコンプライアンス体制と継続的な監査対応を必要とするため、運用コストが増加するリスクも伴う。
特にニューヨーク州は米国でも最も厳格な暗号資産規制を敷いているため、求められる基準に対し継続的な投資が不可欠となるだろう。
競争環境においては、信託認可とビットライセンスを併せ持つ企業が依然として少数である中、ムーンペイがこの枠組みに加わることで、既存プレイヤーとの競争がより活発化する可能性もある。
利用者や企業側から見れば、選択肢の拡大はサービス品質向上につながるため、市場全体にも一定のプラス効果が期待できそうだ。
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