アマゾンがAIデータセンターに150億ドル投資 中西部強化

2025年11月24日、米アマゾン・ドット・コムはインディアナ州北部に150億ドルを投じ、2.4ギガワット規模の新たなデータセンター群を建設すると発表した。AI需要の急増に対応する目的で、同州では累計投資額が313億ドルを超える。
アマゾン、インディアナ州に150億ドル投資し処理能力を2.4GW拡張
アマゾンが今回発表した大型投資は、AIモデルの高度化に伴いクラウドコンピューティングの能力を増強を狙うものだ。インディアナ州北部でデータセンターを新設し、総計2.4ギガワットの処理能力を追加する計画で、1100人の新規雇用が見込まれている。
同社は昨年にも同州へ110億ドル規模の投資を公表しており、2010年以降の累計投資額は313億ドルを突破した。AI関連インフラは、ROI(※)が低いとされるが、それでもアマゾンは拡張を続けている。アルファベットやマイクロソフト、メタなどIT大手が数十億ドル単位でデータセンター投資を表明している。
さらにアマゾンは同日、AWSの米政府顧客向けAIおよびスーパーコンピューティング機能を最大500億ドル規模で増強する計画も公表した。
※ROI(※):投資収益率。投入資金に対して得られる利益の割合。
AIインフラ投資がもたらす成長余地と懸念点 電力負荷と採算性が中期的な焦点に
アマゾンによる今回の投資は、インディアナ州に一定の経済的波及効果をもたらす可能性がある。新規雇用の創出が期待されるほか、データセンター運営に関連する産業が集積すれば、同州が中西部でデジタル産業の存在感を高める展開も想定される。
また、アマゾンにとってもAI需要の拡大に備え、自社で計算基盤を確保できる点は競争力維持に向けた重要な選択肢の一つといえる。近年はAIモデルの大規模化が進むことで必要な計算量も増大しており、インフラ不足が事業成長の制約になり得るとの見方は業界内で強まっている。
一方で、大規模データセンターが地域の電力網に与える影響は無視できない。2.4ギガワット級の設備は相当の電力供給を必要とするため、電源確保や再生可能エネルギーの導入状況によっては、地域インフラの負荷が増す懸念もある。
また、AI関連インフラは建設・運用コストが大きく、ROIが低いとされることから、採算性は中期的な課題として残る可能性が高い。電力価格の変動がコスト構造に影響を及ぼすリスクも指摘されている。
それでも、AI需要が急速に拡大する中で、企業が計算基盤の確保を前倒しする動きは当面続くとみられる。アマゾンがインディアナ州での投資を継続する背景には、AIサービス市場が今後も成長を維持すると見込んでいることがうかがえる。
中長期的には、設備の省エネ化技術や電源の多様化が進展すれば、AIインフラ投資がより安定した事業基盤へ転じる可能性もある。企業は成長機会とリスクの双方を見極めながら、投資判断を行う局面が続きそうだ。
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