au、日本代表戦中継にマルチバンドスライシング Sub6とミリ波を動的制御し高品質伝送へ

2025年11月26日、KDDIがサッカー日本代表戦の映像中継において、Sub6とミリ波を組み合わせて制御する「マルチバンドスライシング」を提供したことが明らかになった。
国内スタジアムでの放送用途として活用され、TBSテレビが5G SAネットワークスライシングを利用した。
代表戦中継でSub6とミリ波を切り替え高品質映像を実現
KDDIは、11月14日の豊田スタジアムおよび11月18日の国立競技場で行われた「キリンチャレンジカップ2025」の映像中継において、TBSテレビへ5G SAネットワークスライシングを提供した。
マルチバンドスライシングとは、5G SA環境で複数帯域を動的に割り当て、用途別に専用帯域を構成する技術だ。
スタジアム環境では来場者の端末接続が集中し、通信帯域の逼迫が課題となるが、今回はSub6とミリ波を動的に利用するマルチバンドスライシングを採用することで、安定した高ビットレート映像伝送が可能になったとされる。
加えて、国立競技場にはSub6の2周波数帯に対応する無線装置「Dual Band Massive MIMO Unit(DB-MMU)」が導入され、無観客時には1.6Gbps超、満席時でも400Mbps以上の通信速度を確認したという。
ケーブルに依存しない撮影環境は演出の自由度を高め、TBS側は俯瞰カメラ映像の伝送に活用したとコメントした。
イベント会場通信の高度化へ 演出拡張と帯域確保が進展する見通し
今回の取り組みは、混雑環境で通信を安定させたい放送事業者にとって有益な事例になると考えられる。
特に、可搬性を伴う中継システムや視点切り替え演出では、ケーブル敷設の制約が解消されることで、番組制作の表現幅が広がる可能性がある。
一方で、スライシング運用には設備投資や帯域配分の調整が伴い、イベント以外の一般利用者への影響管理も求められる点は留意すべきだ。
KDDIはDB-MMUやミリ波の追加展開を進める方針を示しており、スタジアムやアリーナなど大規模集客地での通信品質向上を継続するとしている。
さらに、衛星通信や基地局車両などと組み合わせた多層的な通信設計も拡大する見込みで、将来的にはスポーツ観戦体験やライブイベント演出、リアルタイム配信市場への波及が想定できる。
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