スマホで完結する離婚調停「wakai」開始 費用と期間を大幅削減するオンラインODR

株式会社DDRは、離婚に関する取り決めをオンラインで行えるスマホ調停サービス「wakai」を日本国内で提供開始した。
法整備の進展を背景に、時間と費用の負担を抑えた司法手続きの新たな選択肢として注目される。
オンライン離婚調停「wakai」を正式ローンチ
2025年11月26日、株式会社DDRは、スマートフォンを通じて離婚調停を完結できるオンラインODR(※)サービス「wakai」の提供を開始した。
第一弾として公開された「wakai for 離婚」は、養育費、親子交流、財産分与など離婚に伴う取り決めに対応する仕組みで、調停人には弁護士などの専門家が関与する。
同サービスは、従来の裁判所での調停に比べて手続きの負担が大きい現状を背景に開発された。
家庭裁判所のデータでは、離婚調停の平均期間は7.6ヶ月で、財産分与を含む場合には14〜19ヶ月に及ぶ。
一方、「wakai」では最短1ヶ月での成立を見込んでおり、費用も従来の50〜100万円から最大約8割削減できると説明されている。
また、国内のひとり親世帯の約70%が養育費を受け取れていない状況もサービス開発の背景にある。
厚生労働省の調査によると、全国約120万世帯のうち約84万世帯が未受給で、年間の未払い総額は5,200億円規模と推計されている。
協議離婚では法的拘束力がないため、法的執行力を伴う調停手続きの重要性が増している。
サービス特性として、移動や対面での期日調整が不要で、スマートフォンから時間や場所を問わず手続きを進められる点が挙げられる。
相手方と直接顔を合わせる必要がないことで心理的負担を軽減でき、交通費や日当など付随費用が不要になることも特徴だ。
※ODR(Online Dispute Resolution):インターネットを利用して紛争解決手続きを行う仕組み。裁判所に出向かずに調停・仲裁などを行える。
オンライン調停が広げる選択肢と課題
「wakai」の登場は、離婚に伴う心理的・経済的負担を軽減させ、より早く生活を立て直せるという点で意義が大きいと言える。
特に、相手と直接対面せずに調停を進められる利点は、感情面の衝突を避けたい当事者にとって現実的な支えとなり得る。
調停期日に合わせて仕事や育児のスケジュールを調整する必要がなくなる点も、働きながら離婚問題に向き合う利用者にプラスに働くだろう。
費用面でも、交通費や日当、宿泊費などの付帯コストが不要になることで、従来よりも低い負担で手続きに臨める可能性が高い。
一方、オンライン化が進むことで、操作方法の理解やITリテラシーによる格差が懸念材料となる側面もある。
また、デジタル上のやり取りは対面よりも意図が伝わりにくい場合があり、調停の質に影響する可能性も否定できない。
オンライン調停が一般化すれば、より多くの人がトラブル解決にアクセスしやすい環境が形成される一方で、デジタル化に伴うリスクへの対応も求められる。
司法サービスの新たな形として期待される一方で、安心して利用できる基盤づくりが重要になると言える。
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