コインベース、イーサリアム担保でUSDC借入開始 最大100万ドル対応

2025年11月21日、米大手暗号資産取引所コインベースがイーサリアム(ETH)を担保に米ドル連動型ステーブルコインUSDCを借り入れられる新サービスを開始した。
既存のBTC担保ローンに続く提供であり、米国市場を中心に流動性確保手段として利用が広がる見込みだ。
ETHを担保にUSDCを借入可能 返済期限なしの柔軟設計
コインベースは新サービス「ETH担保ローン」を導入し、保有するETHを売却することなく最大100万ドル相当のUSDCを借り入れられる仕組みを提示した。
既存のBTC担保ローンに続く展開であり、ETH保有者の資産活用方法が広がった形だ。
金利は貸付市場の需給に応じて変動し、レンディングプロトコルのモルフォ(※)が算定するという特徴を持つ。
また最低返済額や返済期限が設定されておらず、ユーザーは任意のタイミングで返済計画を調整することが可能だ。
担保価値がローン残高の86%に達した場合は自動清算が行われ、担保として預けた暗号資産が清算され、返済とペナルティ料金をカバーするようになっている。
同社はこのサービスを「ETH保有者が流動性を確保しつつ投資ポジションを維持できる手段になる」と説明している。
将来的にはステーキングETHであるcbETHを担保対象に追加する計画も示されている。
なお米国でも一部地域では提供対象外となり、規制環境によって利用条件が変動する。
※モルフォ:暗号資産レンディング市場における需給を基に金利を算定するプロトコル。
ETH保有者の資金戦略に変化 利便性向上と清算リスクの両面
ETH担保ローンの登場は、特に価格上昇期待を前提に保有を続けたい投資家にとって有益と考えられる。
売却せずに資金を確保できるため、税務上の取り扱いや再投資余力の確保などの利点が生まれそうだ。
一方で金利変動型であることから、市場環境次第で借入コストが上昇する可能性も排除できない。
自動清算ラインが担保価値の86%に設定されている点は、ボラティリティの高い暗号資産特性と密接に関わる。
ETH価格が急落した場合、意図しないタイミングで担保が売却されるリスクがあるため、利用者のリスク管理能力が問われることになるだろう。
このサービスはUSDCを発行するサークルとのエコシステム接続を強め、米暗号資産市場におけるドル連動型資金循環の促進につながる可能性がある。
さらにcbETHへの対応が実現すれば、ステーキング経済圏への影響も拡大し、Web3全体の資金調達モデルに新たな選択肢を提供すると見られる。
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