メタがグーグルAI半導体導入を検討 エヌビディア依存からの脱却狙う動き拡大

米ネットメディア「ジ・インフォメーション」が、米メタがグーグル開発のAI半導体「TPU」を数十億ドル規模で導入する方向で協議中と報じた。供給逼迫するエヌビディア製半導体の代替として海外市場での動きが加速している。
メタ、安価なTPU導入でAI基盤強化へ
2025年11月25日の報道によれば、米メタ・プラットフォームズは自社データセンター向けにグーグルのAI半導体「テンソル・プロセッシング・ユニット(TPU ※)」の導入を協議している。
さらに2026年までに、グーグル・クラウドでのTPUレンタル活用も検討中とされる。
報道によれば、グーグルは自社開発のAI半導体TPUを、エヌビディア製品よりも安価な代替として位置付けており、高いセキュリティ基準を求める企業にとって有用だと訴えている。また、TPU部門でエヌビディアの収益の10%に相当する売上目標の検討が進められているとされる。
TPUはグーグル・クラウド経由でレンタル利用も可能であり、供給制約の続くエヌビディア製半導体の代替手段として注目が高まっている。
※TPU:グーグルがAI処理向けに開発した半導体。機械学習演算に特化し、同社クラウド環境で利用可能。
AI戦略の再編進む可能性 競争激化も
メタによるTPU導入検討は、供給逼迫するNVIDIA製半導体への依存リスク低減という戦略的意義を持つと見られる。価格面で優位性があるとされるTPUを採用できれば、AI開発コストを抑制しつつ処理速度向上を図れる可能性がある。
一方で、TPUはGoogle環境に特化した設計であり、既存の開発アーキテクチャやNVIDIA向けに最適化されたソフトウェア資産との互換性が課題となり得る。
AI開発プラットフォームの分断を招く懸念もあり、性能面での安定性や運用コストが逆に膨らむ可能性も否定できない。特に高度な汎用性を求める領域ではNVIDIA選好が続くと見られ、単なる代替選択とは言い切れない状況にあると言える。
今後、TPU導入やレンタル活用が進めば、メタはAI基盤の多様化を通じて開発速度向上と財務効率化の両立を目指すと考えられる。その動きは他の大手テック企業にも波及し、半導体調達をめぐる競争環境は再編局面に入る可能性が高い。
ただし、性能・互換性を重視する勢力と、コスト優先で代替製品を選択する企業との間で戦略が分かれると見られる。
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