つくば市、アプリ一つで市内周遊を促進するサービス実証 交通・飲食の最大40%割引MaaS実証

2025年11月25日JTBは、日本のつくば市で複数の交通機関や観光・小売・飲食サービスを一つのアプリで利用できる「つくチケ」を活用したサービスの実証を開始すると発表した。
2025年12月1日から開始され、利用総額に応じて最大40%の割引が適用される仕組みが導入される。
公共交通と観光・飲食を統合 アプリ利用で最大40%割引が実現へ
つくば市で開始される実証では、交通機関や飲食・観光サービスをスマートフォンアプリ「つくチケ」上で統合した次世代型MaaSが開始される。
MaaSとはMobility as a Serviceの略で、複数の交通手段や関連サービスを統合し、利用者がアプリなどを通じて一括で検索・利用・決済できる仕組みだ。
対象となる交通は、つくばエクスプレスの主要駅区間、筑波山周辺の路線バス、つくバス北部シャトル、レンタサイクル、そしてケーブルカーおよびロープウェイである。
植物園、ホテル、飲食店、土産店など幅広い観光・商業施設が参画している。
利用者はアプリをダウンロードした上で、公共交通利用時には画面提示、商業施設利用時には専用コード読み取りにより利用金額を登録する。
市内居住者は1か月、市外居住者は1週間を単位として利用実績に応じた割引が適用され、最大で40%の割引を受けられる。
割引後の金額は、期間終了後に登録クレジットカードで事後決済される。
事前購入不要で、悪天候などによる予定変更にも柔軟に対応できる点が特徴だ。
本実証はつくば市や筑波大学、関連事業者による共同事業体からの委託に基づき、JTB、関東鉄道、首都圏新都市鉄道、つくば観光コンベンション協会、筑波観光鉄道、日立製作所などが参画する。
本実証の背景には、地域内周遊性向上と消費促進があるという。
周遊促進の効果とサービス分断解消に期待
今回の取り組みは、周遊性を高めることで地域経済の活性化につながる可能性がある。
特に観光客にとって、市内移動と飲食・小売利用の一体化は滞在体験を向上させ、回遊消費の増加が見込まれる。
また、市民にとっても日常利用が割引対象となる点は参加意欲を高める要因になると考えられる。
一方で、対象端末がiOSに限定される点、決済が事後型であることに伴う利用者心理、アプリ提示の手間など、運用面では課題が残りそうだ。
公共交通と商業サービスの統合は利便性向上に寄与するが、実証期間終了後に恒常サービスとして成立するかどうかは利用率と費用対効果が鍵になると言える。
さらに、観光と生活圏が共存する地域においては、混雑や地域負担といった副作用も考慮すべきである。
一方で、他自治体におけるMaaS導入の比較検証、都市型観光モデルの形成、データ活用による交通最適化など波及可能性も広い。
実証結果が地域DXや観光戦略にどのように反映されるかが今後の焦点となるだろう。
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