USDT発行のテザー社、ビットコイン担保ローン企業「レドン」に戦略的投資を実施

米ステーブルコイン発行企業テザー(Tether)が、ビットコイン(BTC)担保ローンを手がけるレドン(Ledn)への戦略的投資を発表した。
出資額は非公表で、レドンは累計28億ドル超の融資実績を持ち、テザー社は同社を資産活用基盤として位置づけている。
テザー社がBTC担保ローン事業を運営するレドンへ出資
2025年11月18日、米ドル建てステーブルコイン「USDT」の発行元のテザー社はレドンへの戦略的投資を通じて、デジタル資産の活用領域を広げる取り組みを示した。
出資額は公表されていないが、同社は資産を売却せずに融資や信用供与を受けられる仕組みの構築を支援するとしている。
レドンは2018年の設立以降、累計28億ドル(約4,409億円)超のビットコイン担保ローンを発行してきた。
今年だけで10億ドル(約1,574億円)を超える実績を持ち、年間経常収益(ARR)は1億ドル(約157億円)以上とされる。
テザー社はこうした実績を持つレドンのプラットフォームを、同社の資産運用や利用拡大に適した基盤と位置づけている。
また、市場調査会社データ・インテロ(Data Intelo)は、暗号資産担保ローン市場が2024年の78億ドル(約1.2兆円)から2033年には600億ドル(約9.4兆円)規模に拡大すると予測している。
さらにテザー社は2025年11月6日、資産トークン化プラットフォーム「ハドロン(Hadron)」を軸に、クレインシェアーズ(KraneShares)および、ビットフィネックス・セキュリティーズ(Bitfinex Securities)との三者提携を発表しており、伝統金融商品をブロックチェーン基盤に接続する取り組みも進めている。
資産売却不要の融資が普及へ 市場拡大と規制リスクの行方
テザー社の投資が拡大すれば、デジタル資産を保有したまま流動性を確保する手段が広がり、企業や個人にとって資金調達の選択肢が増える可能性がある。
特にビットコインを長期保有する投資家にとっては、価格上昇を期待しつつ事業資金や運転資金を確保できるため、有用性が高まりそうだ。
一方、担保価値が急変する暗号資産の特性から、清算リスクや規制強化の可能性も無視できない。
市場の拡大とともに、各国当局が融資基準や担保管理のルール整備を進める動きを加速させることもあり得る。
テザー社が参入することで注目が高まる半面、透明性やリスク管理への要求も増していくことになるだろう。
今後は、トークン化証券分野での取り組みと組み合わせることで、暗号資産担保ローンの提供範囲がさらに広がる可能性がある。
レドンの実績とテザー社の発行基盤が連携することで、より多様な金融商品や信用供与モデルが登場し、デジタル金融市場の進化を後押しする展開が見込まれる。
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