コクヨ、企業と地域を結ぶ新たな関係人口モデルを構築 徳島県神山町でローカルECプラットフォーム実証へ

2025年11月20日、日本のコクヨ株式会社が徳島県神山町で地域循環型ECを活用した地方創生の実証実験を開始すると発表した。
11月28日にECサイトを公開し、地域のモノや体験を都市部へ届ける仕組みづくりを進める。
「自律協働社会」に向けた実証へ
コクヨは、徳島県名西郡神山町において地域創生を目的としたECサイト公開を軸にした実証実験を開始する。
実証では、地元のワカモノの居場所づくりを支援する株式会社バンビと連携した「神山★Bambi Bon Bon Market」が開設される。
神山町の農産加工品や体験プログラムといったモノとコトを外部に届け、共感から共に関わる関係性へ発展させる狙いがある。
背景には、コクヨが掲げる「自律協働社会」の実現がある。
コクヨは2021年のビジョン策定以降、文具・家具の枠を超えた事業展開を進めてきた経緯があり、神山町との関係性も企業版ふるさと納税による寄付や教育支援などを通じて深化してきた。
今回の取り組みは、地域交流を超えた地方創生への一歩に位置づけられる。
ECサイトの公開に合わせ、コクヨ主催イベント「CULTURE SNACK」への出店も予定されている。
リアルイベントとオンライン提供を組み合わせることで神山町の認知と体験価値を高め、ユーザー検証を進める構成となる。
地方発ECモデルの全国展開に期待 参加拡大と持続性が成否を左右
今回の実証実験は、EC会員数1,000人の獲得と10以上の地元サプライヤー参画を目標に掲げており、地域経済への波及と関係人口(※)創出の双方を追求する取り組みとなる。
運営面では、地域事業者との連携調整や商品・体験の魅力設計が重要となるだろう。成功すれば、都市と地方を双方向に結ぶ新しい循環モデルとして自治体導入が進む可能性がある。
特に、地方ECの課題である販路開拓と継続収益化を克服できれば、他地域への横展開が現実味を増す。
一方で、継続利用や購買行動に結びつくかは検証を要すると考えられる。
物流コストや需要の季節変動など、地方EC特有のリスクも残されており、改善サイクルの実効性が試される。
今後は、神山町での成果が可視化され、他地域を巻き込む拡張性を示せるかが焦点となるだろう。
※関係人口:移住や定住ではなく、地域と継続的な関わりを持つ人々を指す概念。行政・地域政策分野で用いられる。
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