サッポロビール、歳暮ギフト全商品販売中止 想定上回る受注で対応

2025年11月21日、サッポロビール株式会社は、歳暮ギフトの全国発売分および新潟限定商品の販売を中止すると発表した。受注が当初想定を大きく上回ったことが理由であり、顧客や取引先に影響が出る可能性がある。
サッポロ、想定超の注文で歳暮ギフト販売を中止
サッポロビールは21日、歳暮期に向けたギフト商品について、全国発売の全商品と新潟限定商品を販売中止とすることを発表した。
対象商品には「ヱビスビール缶セット(350ml×12本・20本)」「ヱビス4種の味わいセット」「サッポロ生ビール黒ラベル缶セット」などが含まれる。新潟限定商品は「風味爽快ニシテ缶セット」が中止の対象となる。
同社は公式発表で、当初の想定を上回る注文が集中したことを理由に挙げている。
注目されるのは、ビール業界全体の供給体制への波及である。
直近ではアサヒグループの一部システムが、ランサムウェア(※)による攻撃の影響を受けたと報じられ、年末需要期の物流に不確実性が生じていた。他社の混乱が相対的にサッポロへの注文増につながった可能性は否定できない。
サッポロは取引先および消費者に対し謝意を示すとともに、現時点では販売再開の時期を明らかにしていない。年末需要の分散や流通現場への負荷を踏まえた上で、現実的な対応策の検討が続くとみられる。
※ランサムウェア:コンピュータシステムを人質に取り、復旧のために金銭を要求するマルウェアの一種。企業の物流・情報管理に大きな影響を与える場合がある。
供給逼迫リスクと顧客対応の課題浮き彫りに
販売中止により、顧客離れやブランドイメージへの影響が懸念される。
特にビールギフトは代替ブランドが容易であるため、需要の一部が競合に流れる可能性がある。また、短期的な供給逼迫は消費者の不満を招く要因となりうる。
一方で、在庫や生産計画を見直す機会としても捉えられる。過剰受注を調整することで製造ラインの効率を維持し、他期の販売機会を守る効果が期待できる。
包装仕様が複雑なギフト商品では、柔軟なライン管理が利益率に直結すると考えられる。
業界全体を見渡すと、ランサムウェアなど外部要因による物流混乱が再発するリスクも考慮する必要がある。サプライチェーンの脆弱性を踏まえ、企業間でのリスク分散や需要予測の精度向上が求められる状況である。
今後は、顧客への代替案提示や予約制強化など、販売戦略の多様化が鍵になるだろう。
短期的な供給逼迫対応にとどまらず、中長期でブランド維持や顧客満足度向上につなげる施策が重要になると考えられる。
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