グーグルが台湾に大型AI拠点を開設 米国外最大級センターで次世代インフラを強化

米グーグルが台湾にAIインフラのエンジニアリングセンターを開設した。
米国外で最大規模の拠点となり、同社のデータセンター技術を世界に展開する基盤になる。
台湾政府や米国在台協会(AIT)も歓迎の姿勢を示した。
台湾に米国外最大のAIエンジニアリング拠点が始動
2025年11月20日、米グーグルは台湾にAIインフラ開発を担うエンジニアリングセンターを正式に立ち上げた。
台北に設置されたこの施設は、グーグルが米国外で運営する拠点として最大規模であり、同社のデータセンター技術の開発とテストを集中的に行う機能を持つ。
グーグルクラウドのインフラ部門を率いるアメル・マフムード氏は、台北で開発された技術が世界中のグーグルデータセンターに適用され、日常的に利用されるデバイスやサービスの性能向上に直結すると説明した。
マフムード氏は単なる物理的な拠点ではなく、台湾という技術エコシステムへの長期投資だとしている。
開所式に出席した頼清徳・台湾総統は、今回の設置が台湾に対するグーグルの持続的な投資姿勢を示すものだと評価した。
「台湾が世界のテクノロジーサプライチェーンの重要な部分を占めるだけでなく、安全で信頼できるAI構築に向けた重要な拠点であることを世界に示す」と述べた。
また、事実上の米国大使に当たるAIT台北事務所のレイモンド・グリーン所長も、同センターの設置が米台間の深いパートナーシップを象徴すると強調した。
新施設が創出するイノベーション基盤により、米台経済関係が「新たな黄金時代」を迎える可能性があるとの見方を示した。
台湾の技術基盤強化と地政学的影響 AI拠点がもたらす波及効果
グーグルの新センターは、台湾にとって技術・産業の競争力を強化する起点となり得る。
特に、データセンター技術やAIインフラの開発を担う高度人材の育成が進むことで、台湾企業や関連サプライヤーの技術水準が引き上げられる可能性がある。
グローバル企業が主導する研究開発拠点の拡大は、スタートアップの誘致や投資環境の改善にも寄与し、広範なエコシステムに好影響が及ぶと考えられる。
一方で、地政学的な側面も無視できない。
台湾は半導体に続き、AIインフラでも世界的な存在感を高めつつあるが、こうした動きが米中対立の構図に影響を与える懸念もある。
国際的に注目される技術拠点が台湾に集中するほど、サイバーリスクや供給網の安定性に対する要求は高まるだろう。
安全保障上のリスク管理をどのように強化するかが、台湾政府と企業にとっての次の課題になると見られる。
加えて、グーグルにとっては世界規模でのAIインフラ展開を加速させる重要な足場になる。
台湾で培われた技術が国際市場に広がることで、クラウド基盤の信頼性向上やサービス品質の安定化が期待される。
総じて本件は、メリットが大きい一方で、地域特有の政治リスクが事業運営に影響を及ぼす可能性も残されているため、両者のバランスをどう取るかが焦点となりそうだ。
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