米商務省、エヌビディアAI半導体をサウジアラビア・UAEへ輸出承認

2025年11月19日、米商務省はエヌビディア製最先端AI半導体「ブラックウェル(GB300・※)」をサウジアラビアとUAEの企業2社に最大3万5000個輸出することを承認した。発表は米国からの情報で、両国の大規模データセンター建設計画に関連するものである。
米国、サウジ・UAE向けAI半導体輸出を正式承認
商務省は、サウジ政府支援のAIベンチャー「ヒューメイン」と、UAEアブダビ拠点の国営AI企業「G42」の2社への輸出を承認した。両社は自国で大規模データセンターを建設する計画を進めている。
輸出対象のブラックウェルは最大3万5000個で、推定額は約10億ドル相当。承認はサウジのムハンマド皇太子の訪米初日に発表され、米国が中東AI分野への支援姿勢を鮮明にした形である。
ヒューメインはさらに、エヌビディア製AI半導体60万個の購入計画を発表しており、xAI(イーロン・マスク氏率いる企業)と共同でサウジにデータセンターを建設予定である。G42も米国技術を活用し、UAEで世界最大級のデータセンター拠点構築を目指している。
※ブラックウェル(GB300):エヌビディアが開発した最先端AI半導体で、大規模データセンターや生成AI向けに高性能演算を提供するチップ。安全保障上の輸出規制対象にもなる。
中東AI戦略の進展とリスク 経済効果と安全保障の両面
今回の輸出承認により、サウジ・UAEのAI事業は大幅に加速する可能性がある。最先端半導体の導入は、大規模演算や生成AI開発の基盤を支え、両国の技術競争力を押し上げる効果が期待される。また、米国側も自国技術の影響力拡大や同盟関係の強化といったメリットを享受する可能性がある。
一方で、安全保障上の課題も無視できない。高性能半導体は軍事転用や情報漏洩のリスクを伴い、商務省が課した報告義務の遵守が輸出継続の条件となる。さらに、中東地域のAI開発競争は国際的な規制や他国の政策動向とも密接に連動しており、米国は技術供与とリスク管理のバランスを慎重に図る必要がある。
将来的には、中東でのデータセンター建設成功が地域経済や国際AI市場に波及効果をもたらす可能性がある一方、輸出管理の不備や技術流出が生じれば、逆に米国側の安全保障や国際競争力に影響を与えかねない。慎重な監視と戦略的対応が今後の焦点になると考えられる。
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