ゆめみ、JR東日本のアプリ開発を内製化支援 OJTで社内エンジニア育成も加速

東京都のIT企業ゆめみが、JR東日本が推進するアプリ開発内製化プロジェクトに参画すると発表した。
2028年度リリース予定の新「Suicaアプリ(仮称)」の開発に携わり、エンジニア育成からCI/CD導入まで幅広い支援を行う。
JR東日本の内製化プロジェクトにゆめみが参画
2025年11月20日、株式会社ゆめみは、JR東日本が進めるアプリ開発の内製化プロジェクトに協働パートナーとして加わり、新「Suicaアプリ(仮称)」の開発支援を担うと発表した。
JR東日本はモビリティ事業や生活ソリューション事業を支えるアプリ基盤を強化するため、社内主導の開発体制構築を本格化している。
背景には、企業のデジタルシフト加速に伴い、外部委託だけでは迅速性や柔軟性に限界があるという課題がある。
JR東日本は利用者ニーズの変化に的確に応えるため、アプリの企画・開発・運用を自社内で継続的に改善できる体制を求めてきた。
今回、ゆめみはiOS/Androidに対応したアプリケーション開発支援に加え、OJTによる社内エンジニアの育成や継続的インテグレーション/デリバリー(CI/CD)(※)環境の整備を実施する。
これにより、JR東日本のチームが自律的に開発を進められる技術基盤を構築する計画だ。
さらに、ゆめみは内製化導入を支援してきた実績を活かし、開発プロセスの標準化や品質向上のノウハウも提供する。
2028年度のリリースに向けて、両社が協働しながら段階的に開発体制の強化を進める方針である。
※継続的インテグレーション/デリバリー(CI/CD):コードの自動テストやビルド、デプロイを一連化し、開発効率と品質を高める手法。
内製化がもたらす効果と課題 開発力強化の鍵は人材育成
アプリ開発の内製化は、リリーススピードの向上や品質管理の徹底につながる一方、専門人材の確保と育成が大きなハードルになり得る。
今回の協働では、ゆめみがOJTを通じてJR東日本のエンジニアを実践的に育成するため、知識移転の精度が成果を左右すると考えられる。
メリットとしては、仕様変更への俊敏な対応や中長期的なコスト最適化が期待できる。
特に「Suicaアプリ(仮称)」は幅広い利用者を想定するため、UI/UX改善や運用面の継続的アップデートが不可欠であり、内製体制との相性が良い領域と言える。
一方で、内製化には過度な属人化やスケール不足といったリスクもある。
CI/CD環境の整備はこれらを抑制し、標準化された開発フローを維持する上で重要になるだろう。
ゆめみの支援は、技術面と人材面の両側から課題を解消し、JR東日本が長期的に持続可能な開発組織を確立するための橋渡し役を担うと考えられる。
今後は、本プロジェクトを契機に他の大手企業でも内製化支援の需要が高まる可能性がある。
企業競争力の源泉が「自ら改善を高速に回せる開発体制」に移りつつある中、今回の取り組みが一つのモデルケースとして注目されるだろう。
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