トランプ陣営とダール社が不動産をトークン化 米個人投資家向け販売を発表

2025年11月17日、米トランプ・オーガナイゼーションと英ダール・グローバルが、モルディブで進める高級ホテル開発をトークン化する計画を発表した。
開発段階から個人投資家が参加できる新たな不動産投資モデルとして注目が集まる。
トランプ系リゾートをトークン化 個人投資家から最大70%調達へ
トランプ・オーガナイゼーションとダール・グローバルは、共同で進める「トランプ・インターナショナル・ホテル・モルディブ」の開発資金調達に、ブロックチェーン基盤のトークン活用を導入する計画を明らかにした。
プロジェクトは約80棟のビーチヴィラと水上ヴィラで構成され、2028年末の開業を想定している。
トークン化とは、不動産や証券などの資産をデジタル化し、ブロックチェーン上で分割・取引可能な形にするものだ。投資の小口化と透明性向上が期待される。
ダール社は開発費の最大70%を米国の個人投資家向けに販売するトークンで調達する方針を示した。
従来の大型不動産案件では機関投資家やファミリーオフィスからの借入が中心だったが、今回はその構造を転換し、一般投資家の参加を大きく拡大する狙いがあるとみられる。
開発段階そのものをトークン化する点も特徴で、プロジェクト初期からの成長利益にアクセスできる仕組みを提供する。
これにより、従来は参入が難しかった高級リゾート開発に、より幅広い投資層が参加できる可能性がある。
なお、ロイターの報道によると、両社は中東を中心に複数のトランプブランド案件を展開しており、ドバイのタワー開発やカタールのゴルフリゾートなども進めている。
不動産トークン化で広がる投資機会 普及の鍵は規制整備と市場信頼
不動産トークン化は資金調達の効率化と透明性の向上を同時に実現できる手法として注目されてきた。
今回のプロジェクトは、国際的に高いブランド力を持つリゾート開発が対象である点から、市場への訴求効果は大きいと考えられる。
個人投資家にとっては、従来アクセスが困難だった高額アセットへの関与機会が拡張する利点がある。
一方、トークン化された投資商品は市場流動性や価格形成への不透明性といった課題も抱える。
特に、開発段階のプロジェクトはリスクが高く、投資家保護の観点から規制当局の対応が重要になる。米国では証券法との整合性が問われる領域であり、普及の鍵は法的な枠組みが明確になるかどうかにかかっているだろう。
また、不動産トークン市場はまだ黎明期であり、二次流通市場の厚みや投資家教育も不可欠となる。
とはいえ、高級リゾート開発のような象徴的プロジェクトがトークン化に踏み切ることで、市場全体の信頼向上や企業側の採用拡大につながる可能性がある。
今後は、中東やアジア太平洋地域の不動産企業が同様の資金調達モデルを検討する展開も予想される。今回のケースが成功すれば、グローバル不動産市場における資金循環の形が変わる契機になり得る。
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