エルサルバドル、ビットコイン買い増しで7,474BTC保有に IMF方針と乖離か

エルサルバドル国家ビットコイン局がビットコイン(BTC)を1,098.19BTC追加取得したと発表した。
政府による大規模購入で、同国の保有量は7,474.37BTCとなった。
エルサルバドル、1,098BTC追加で保有量が7,474BTCに
2025年11月19日、エルサルバドル国家ビットコイン局は、同国政府が1,098.19BTC(約1億ドル)を新たに購入したと公表した。
今回の取得により、同国のビットコイン保有量は7,474.37BTCとなった。
同局のデータによると、過去30日間で1,121.19BTCを追加するなど、市場の下落局面を踏まえた取得が続いている。
同国が保有するビットコインの時価評価額は約6億7,800万ドル(約1,051億円)に達した。
ビットコイン市場は10月に12万6,000ドル付近の過去最高値を記録した後、調整局面に入り、11月19日16時時点で約9万6,000ドルを推移している。
今回の取得は、エルサルバドルがIMF(国際通貨基金)との14億ドル規模の融資プログラムで「資産への公的エクスポージャーを制限する」方針を示していた中で実施された。
同国はIMF契約締結時点で5,968BTCを保有していたが、今回の発表時点で7,400BTC超に増加しており、IMFが2024年12月以降は新規BTC購入がないと報告していた内容と乖離が見られる。
また、エルサルバドルは2021年にビットコインを法定通貨としたが、2024年の調査では「92%が利用していない」とされ、2025年1月には事業者の受け入れ義務が撤廃される。
よって、法定通貨としての地位は縮小しているが、政府は取得を継続している。
政府のBTC戦略とデジタル資産活用に関する政策判断の透明性
今回の買い増しは、エルサルバドル政府がビットコインを戦略的資産として扱い続ける姿勢を明確にしたと言える。
一方で、IMFとの融資プログラムが求める財政規律との間に溝が生じる可能性がある。
特に、国際機関が警戒する価格変動リスクを政府がどこまで許容するかが、今後の政策判断に影響を与えるだろう。
メリットとしては、市場下落局面での取得によって平均取得単価が下がり、長期的に保有価値が向上する可能性がある点が挙げられる。
また、政府が積極的にBTCを蓄積する姿勢は、デジタル資産戦略を重視する層から一定の支持を得る余地がありそうだ。
一方でリスクも明確だ。ビットコインの大幅な価格変動は財政指標に影響を与え、IMFとの協議における交渉材料にもなり得る。
法定通貨利用が低迷する中で公的資金によるBTC蓄積を続けることへの疑問も残る。
国際金融市場における信用評価や融資条件にも影響が及ぶ可能性は否定できない。
エルサルバドルのBTC戦略は、国際基準と自国政策のバランスをどこに置くかが今後の焦点となり、政府判断の透明性と説明責任がより重要になると考えられる。
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