ソフトバンクがAI計算性能で国内首位 次世代AI基盤として国際評価を獲得

ソフトバンク株式会社が発表したAI計算基盤「CHIE-4」が、米国で開催されたSC2025におけるスーパーコンピューター性能ランキング「HPL-MxP」で国内1位(世界5位)を獲得した。同基盤は4,000基超のGPUを搭載している。
AI性能で国内首位 4,000基GPU搭載のCHIE-4が高評価
2025年11月19日、ソフトバンクが運用するAI計算基盤「CHIE-4(チエフォー)」が、AI計算性能を測定する「HPL-MxP(※)」にて国内1位、世界5位を記録した。発表は米国で開催された国際会議「SC2025」で行われた。
同システムは「NVIDIA DGX B200」に4,000基超の「NVIDIA Blackwell GPU」を搭載し、大規模言語モデル(LLM)開発や高度推論処理に特化している。
さらに、汎用的な計算能力を示す「TOP500」で国内3位(世界17位)、実用的な科学技術計算性能を評価する「HPCG」で国内2位(世界6位)となり、スーパーコンピューターとして多角的に高い性能が確認された。
ソフトバンクは、AIとの共存社会の実現を掲げ、AI時代を支える社会基盤構築を進めている。
今回の高評価を受けた「CHIE-4」を含む計算環境を企業や研究機関に開放し、幅広い開発者が利用可能な基盤整備を推進する。これにより、研究開発の効率化や新たなAIサービス創出を促し、日本におけるAI競争力向上に寄与するとしている。
※HPL-MxP:AI向け演算性能を評価する国際指標。従来のHPC性能とは異なり、AI処理に特化した測定方式。
AI競争力強化へ期待高まる一方、消費電力や利用枠に課題も
高性能AI基盤の評価獲得により、国内外の研究機関や企業がソフトバンクの計算環境を活用する可能性は高まりそうだ。
特にLLM開発や生成AIサービスの高速化に寄与し、日本企業の競争力向上や研究開発コストの削減につながれば、同社にとって大きなメリットとなるだろう。また、海外クラウド依存を減らすという観点から、データ主権の確保にも寄与するかもしれない。
一方で、4,000基超のGPUによる電力消費の増大や、利用枠が限られる可能性はリスクとなり得る。AI開発需要が集中すれば、アクセス制限や利用料金の上昇が懸念されることも否めない。
今後は、AI計算資源を戦略的に確保し、産業・学術領域に広く開放するための仕組み作りが重要となるだろう。
今回の実績が、日本発のAI開発基盤強化に向けた転換点になるか、引き続き注目したい。
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